フランスを目指す旅へEVで BMW iX(3) 長期テスト スグレモノの最新版iドライブ

公開 : 2022.12.17 09:45  更新 : 2022.12.21 15:50

エンジンを売りにする上級ブランドが発売した、フラッグシップBEVのiX。英国編集部が長期テストで実力を検証します。

積算7422km 飛躍した最新のiドライブ

BMWのインフォテインメント・システム、iドライブはベンチマークといえるスグレモノ。このiXに実装されているのはバージョン8で、さらなる飛躍を得ている。

グラフィックは鮮明で見やすく、インターフェイスは至って操作しやすい。スマートフォンと連携している時にナビゲーションのボタンを押すと、BMW自体のナビではなく、スマホのアプリが起動する点も素晴らしい。

BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)

積算8067km 素晴らしいグリップ力と操縦性

iXでグッドウッド・リバイバルというクラシックカー・イベントへ向かったところ、駐車場の端の方へ案内された。入口からずっと奥の方へ。イベントの内容にはそぐわないクルマだったかもしれないが、少なくとも入場させてはくれた。

サーキットを走らせてみたら、驚くほどのグリップ力と、素晴らしい操縦性を確認できた。そして、クラシックカーのように故障もしなかった。

BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)

積算8402km BEVでフランスを目指す旅へ

BMW iXの前に、筆者は長期テストで同じくバッテリーEV(BEV)のアウディQ4 eトロン・スポーツバックへ乗っていた。ベルギーでの短いバカンスを楽しんだ際は、快適な移動手段になった。

グレートブリテン島から遠く離れた場所ではなかったが、充電インフラの状態がわからない旅先なだけに、不安はゼロではなかった。だが、結局それは杞憂だった。

BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)

ドーバー海峡を渡るユーロトンネルの入口や高速道路、ベルギーの市街地でも、充電器は問題なく利用できた。むしろ余計に充電できたくらい。残りの航続距離が不安になることはなかった。

それでは、さらに遠くを目指したらどうなるのか。欧州大陸縦断のような自動車旅行を、BEVでも問題なく達成できるだろうか。それを確かめるべく、再び筆者はドーバー海峡へ向かった。

ユーロトンネルの入口で充電

海峡をくぐるには、ユーロトンネルを走る専用列車にクルマを載せる必要がある。英国側では、グレートブリテン島の南端、フォークストーンという町にターミナル駅がある。

わたしの自宅からフォークストーンまでは、片道160km。充電を100%にして、ラッシュアワーを避けつつ午前中に出発した。メーター用モニターに初め表示された航続距離は、611kmだった。

BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)

この数字は、直近のドライブパターンに基づいて計算されている。高速道路を中心に走っていると、満充電時の距離は短くなる。ストップ&ゴーの多い市街地や郊外の道で過ごす時間が長くなると、少し伸びる。

道中、特に目立った渋滞もなくiXは順調に南下。ゆったりドライブを楽しめた。

車載列車を待っている間に、充電する手段は2つある。チャンネル・トンネル社が提供する無料の急速充電器を利用するか、テスラ以外のBEVも利用可能になっている、スーパーチャージャーという急速充電器を用いるか。

筆者はテストを兼ねて、両方試してみることにした。最初につないだのはスーパーチャージャー。20分間で18kWh蓄えられ、費用は10.54ポンド(約1700円)だった。残りの13kWhは無料の方につなぎ、99%まで駆動用バッテリーは回復した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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