必要条件はしっかりクリア シャオペンG9へ試乗 BEVの大型SUV 巻き起こす激しい競争

公開 : 2023.01.04 08:25  更新 : 2023.05.01 08:41

コンフォートという表現がハマる走り心地

さて、G9を発進させてみよう。試乗車のボディはエアサスペンションが支えており、乗り心地は至って快適。ドライビング体験の全体でも、コンフォートという表現はぴったり当てはまる。

試乗車のG9 650という仕様では、前後に駆動用モーターが載り、0-100km/h加速は3.9秒とシャオペンの量産モデルでは最速。とはいえ、一部の高性能BEVほどの鋭さはない。低グレードのG9ではフロントモーターが省かれ、後輪駆動となる。

シャオペンG9 650 マックス(中国仕様)
シャオペンG9 650 マックス(中国仕様)

ステアリングホイールの感触は淡白で、軽く回せる。回生ブレーキの効きは、ワンペダル・ドライブが可能なほどではないものの、かなり強く扱いやすい。

シャオペンの他のモデルと同様に、G9も無線で車載ソフトウエアがアップデートされる。試乗した限り、いくつかの不具合が残っていたようだから必要なシステムともいえる。特にオート・ハイビームは上手く機能していなかった。

G9の最大の売りといえるのが、ライダーというレーザー光センサーを用いた運転支援システム。実用化されれば、中国国内の都市部と高速道路で自律運転が可能になる予定。欧州市場で売られるクルマが、どうなるのかはわかっていない。

またG9は、電圧800Vという高性能な電動アーキテクチャを採用している。急速充電能力は480kWまで対応し、最速なら5分で200kmぶんの電気を蓄えられる計算になる。実際の電費効率にもよるけれど。

求められる能力や品質の条件を満たす

欧州へ上陸することになる、シャオペンG9。BEVの大型SUVとして、求められる能力や品質といった条件を満たしていると感じた。つまり既存の自動車メーカーが、ますます厳しい競争に巻き込まれることを意味している。

自律運転を含めて、試乗車はすべての機能が万全に動く状態ではなかった。最終的な評価を下せる完成度ではなかったものの、G9が身につけるであろう可能性は小さくない。

シャオペンG9 650 マックス(中国仕様)
シャオペンG9 650 マックス(中国仕様)

シャオペンG9 650 マックス(中国仕様)のスペック

中国価格:41万9900元(約797万円)
全長:4891mm
全幅:1937mm
全高:1680mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:3.9秒
航続距離:650km(CLTC値)
電費:6.6km/kWh(CLTC値)
CO2排出量:−
車両重量:2355kg
パワートレイン:ツイン非同期モーター
駆動用バッテリー:98kWh
最高出力:238ps(フロント)/312ps(リア)
最大トルク:29.2kg-m(フロント)/43.7kg-m(リア)
ギアボックス:シングルスピード・リダクション

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・アンドリュース

    Mark Andrews

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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