必要条件はしっかりクリア シャオペンG9へ試乗 BEVの大型SUV 巻き起こす激しい競争

公開 : 2023.01.04 08:25  更新 : 2023.05.01 08:41

勢いを増す中国の振興BEVメーカーによる大型SUVが登場。欧州での販売も始まる新モデルを、英国編集部が評価しました。

ハイブランド化を目指す新型SUV

中国の振興自動車メーカー、シャオペンは運転支援システムの開発に注力している。空を飛ぶクルマにも意欲的で、ドバイでは初飛行に成功した。

欧州にも進出を始めており、徐々に販売エリアは拡大中。バッテリーEV(BEV)への変革期に、存在感を増しつつある。

シャオペンG9 650 マックス(中国仕様)
シャオペンG9 650 マックス(中国仕様)

今回試乗したG9は、そんなシャオペンの最新モデル。全長4891mm、全幅1937mmの大型SUVで、ライバルとしてはBMW iXテスラモデルXなどが合致する。

2023年前半には欧州市場の一部で販売が始まる。コンパクト・クロスオーバーのG3iと、大型サルーンのP7というモデルラインナップを強化することになるだろう。このP7は同社のベストセラー・モデルで、新しいG9はプラットフォームを共有している。

当初からグローバルモデルとして開発されており、従来のモデル以上に高級に仕立てられているのが特徴。シャオペンは多くの中国メーカーと同様に、ハイブランド化を目指している。アウディ、BMW、メルセデス・ベンツのドイツ御三家に伍するべく。

スタイリングはなかなかハンサム。奇をてらった処理もない。スムーズでシンプルな面構成を持ち、フォルムはボクシー。ホイールベースはサルーンのP7と同値で約3mある。2本のルーフレールには、先端に5G通信用のアンテナが埋め込まれている。

インテリアは、ソフト加工されたプラスティックがふんだんに用いられ、P7と比較して明らかに高級。製造品質も高く、標準装備にも驚かされる。

ゆとりのある車内空間に充実の装備

前席にはマッサージ機能を内蔵。試乗車は上級のマックス・グレードで、後席にも追加されていた。助手席の正面には、エンターテインメント用モニターが据えられる。運転の邪魔にならないよう、ガラス面には斜めから見えにくい加工が施される。

センターコンソールの前面には、スマートフォンのワイヤレス充電機能が備わる。肘掛け部分の小物入れの蓋は両側から開き、なかにはフレグランス・ディスペンサーが仕込まれていた。

シャオペンG9 650 マックス(中国仕様)
シャオペンG9 650 マックス(中国仕様)

このフレグランス機能は、フロントシート内の送風口とスピーカーに連動している。ドルビー・アトモスと呼ばれるサラウンドシステムに対応したメディアを再生すると、香りで臨場感をアシストする。映画の5D体験を、移動中でも楽しめる。

シートに内蔵されたスピーカーから響く重低音には少し違和感があったものの、助手席側には展開式のフットレストも装備される。フラットにリクライニングすれば、走るプライベート・シアターの完成だ。

後席側も電動で角度調整でき、背もたれは60:40に分割して倒せる。試乗車にはオプションのエアベットも搭載されていた。

シートレイアウトは2名+3名の2列。乗員空間も荷室空間も、かなりのゆとりがある。パノラミック・ガラスルーフが開放的な雰囲気を生み出すが、開閉はしない。

センターモニターで表示されるナビゲーションは、自車の位置がステアリングホイールで隠れて確認しにくかった。メーター用モニターへ表示させることもできない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・アンドリュース

    Mark Andrews

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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