愛着の湧く小さなボディ スズキ・イグニスで1週間を過ごす 悪路性能は想像以上 後編

公開 : 2023.01.30 08:26  更新 : 2023.09.21 08:29

実は英国編集部からの評価が高い、スズキ・イグニス。編集部の1人が家族とともに1週間を過ごし、魅力を再確認しました。

木曜日 好感が持てるアスファルト上での走り

スズキ・イグニスと一緒に過ごし始めて4日目。この日は、普段あまり走らない道を運転した。

午前中はロンドンの北、レスターシャー州へフォトグラファーとともに向かい、美しい景色の中でニューモデルへ試乗。見応えのある写真も撮れたようだ。午後はイグニスのオフロード性能を確かめるべく、近場にある採石場へ向かった。

スズキ・イグニス 1.2ブースタージェット・ハイブリッド 4WD SZ5(英国仕様)
スズキ・イグニス 1.2ブースタージェット・ハイブリッド 4WD SZ5(英国仕様)

アスファルト上でのイグニスには、とても好感が持てる。洗練されているとはいえないかもしれないが、とても正直なクルマだ。

ステアリングは期待以上に正確で、手のひらへ感触も伝わってくる。シフトレバーは適度に軽く、クラッチペダルは繋がった感覚がちゃんとわかる。寒い朝にはスラストベアリングが少し鳴くが、それも機械を操っている感じがして嫌いではない。

サスペンションは若干突っ張り、バタバタすることもある。でも、不思議なことに好感すら覚える。

コーナーを積極的に攻めるには、その前に充分なスピードへ乗せるための意欲的な運転が必要になる。一度ペースを掴めば、不足ないグリップ力を発揮し、横方向の姿勢制御に不安感がないことへ気付ける。

全幅は1690mmしかないから、狭い道を少ない気づかいでこなせる。小さく軽く、適度な動力性能を備えたクルマは、やはり運転が楽しいのだ。

想像以上に高いオフロードの走破性

そんなことを確かめながら、採石場へ到着。イグニスの最低地上高は180mmと、さほど高いわけではない。履いているタイヤは、ブリヂストン・エコピアという街乗り用。四輪駆動とはいえ、複雑な起伏やぬかるんだ路面で苦労するのでは、と想像していた。

ところが、それはまったくの杞憂。イグニスのトラクション・コントロールにはオフロード用モードが備わり、勾配で活躍するヒルディセント・コントロールも付いている。小さなヤギが身軽に山岳部を歩くように、意に介することなく悪路を進んでいく。

スズキ・イグニス 1.2ブースタージェット・ハイブリッド 4WD SZ5(英国仕様)
スズキ・イグニス 1.2ブースタージェット・ハイブリッド 4WD SZ5(英国仕様)

オフロードでも、小さく軽いボディは武器になる。背の高い草が生えた、ぬかるんだ窪地もクリアしていた。急な丘を登る場面では、1速に入れてある程度の助走とフルパワーが必要だったが。

極端に大きな凹凸を避けることも必至ではあった。流石に、小径のオンロード用タイヤとシンプルなサスペンションでは手に負えない。丁寧にスピードを調整しながら、ラインを選んで運転することになる。

それでも機敏なイグニスは、走行不能に陥ることはなかった。悪路の走破性は想像以上といえ、目指せないような目的地は少ないといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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