【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(14) 購入から1年、EVオーナーが直面した課題

公開 : 2023.03.15 07:45

2035年の完全電動化は非現実的?

現在、さまざまなEV関連企業がアプリを使うことを前提とした充電装置の売り込みをおこなっているようだが、宿泊施設特有の課題を解決できていないケースがほとんどであり、非常に問題があると考えている。

その問題は以下のようである。

このまま国内でEVが増えてゆけば、電力供給そのものが間に合うのかどうかも不安と筆者。
このまま国内でEVが増えてゆけば、電力供給そのものが間に合うのかどうかも不安と筆者。    笹本健次

・それぞれの企業が独自に作るアプリに登録しないと充電できない。極端な話、旅行に行く度に新たなアプリを入れ込まなくてならず、面倒なうえに個人情報の拡散になりかねない。

・今後は、宿泊する部屋の予約と充電器の予約がセットになるはずで、現にわたしもそうしている。この場合、宿側がコントロールできないシステムは意味がない。

・宿泊者が充電をおこなうと宿にバックマージンが入るシステムもあるようだが、その費用は宿泊者が払う上乗せした高額な電気代から支払われるはずで、それならその分を安くすべきである。宿は売電を商売にしている訳ではないのだから。

これらの問題を解決すべく、最も良い方法を全旅連で検討中である。

このまま国内でEVが増えてゆけば、電力供給そのものが間に合うのかどうかも不安なところで、現実に政府が標榜している2035年に完全電動化などは、皮膚感覚としてかなり難しいと思わざるを得ない。

この1年間、タイカンに限らずさまざまなEVに試乗してみたが、いずれも現時点での完成度は高く日常に使用するうえで何ら問題がないことが確認できた。

無論、これからもバッテリーの高性能化や小型化など、さまざまな技術的課題の解決がなされてゆくだろうが、やはり基本的なことは、充電インフラの整備とユーザーのEVに対する理解度の問題だろうと感じている。

今後はハード、ソフト両面でさらなる意識の浸透が必要であろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。

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