後席はロールス・ロイス級の広さ ジェネシスG90へ試乗 独ブランドとのギャップが見える 前編

公開 : 2023.04.09 08:24

ジェネシスのフラッグシップ・サルーンがモデルチェンジ。実力を高めるレクサスのライバルを、英国編集部が評価しました。

スリムな2段ヘッドライトで凛々しいフロント

ジェネシス・ブランドのフラッグシップ・モデルとして、北米市場ではアウディA8BMW 7シリーズレクサスLSといった上級サルーンとしのぎを削るのが、今回試乗した2代目G90だ。母国ではEQ900を名乗った初代は、2015年の発売とまだ日が浅い。

現在のジェネシスは、SUVのGV60やサルーンのG80で欧州市場への進出も果たしている。しかし今のところ、このG90は導入予定がないという。初代と同様に。

ジェネシスG90 プレステージ3.5T e-SC(韓国仕様)
ジェネシスG90 プレステージ3.5T e-SC(韓国仕様)

モデルチェンジした2代目は、スタイリングの訴求力を高めており、先進的な技術も惜しみなく搭載されている。インテリアの高級感という面でも、充分に磨き込まれている。欧州で挑戦してみる価値はありそうに思える。

フロントマスクは、近年のジェネシスの特徴といえるスリムな2段ヘッドライトが凛々しい。ジェネシスが「クレスト」と呼ぶ、5角形の大きなフロントグリルが強い押し出し感を生んでいる。

リア側に回ると、Cピラー付近のデザインはベントレーに近いかもしれない。滑らかに傾斜するテールエンドは、メルセデス・ベンツSクラスにも似ている。それでも一歩引いて眺めると、全体的なまとまりは悪くなく、充分な個性も備わっていると感じる。

ツインターボ+電動スーチャーで414ps

ボンネット内のエンジンは、先代の5.0L V型8気筒・自然吸気から、3.5L V型6気筒ツインターボへ置き換えられた。試乗車はロングホイールベース版で、電圧48Vで稼働する電動スーパーチャージャーでも加給され、414psの最高出力を発揮する。

このスーパーチャージャーにより、1300rpmという低い回転域で最大トルク55.8kg-mを実現している。稼働用のバッテリーは荷室のフロア下に積まれ、スペアタイヤは省かれている。

ジェネシスG90 プレステージ3.5T e-SC(韓国仕様)
ジェネシスG90 プレステージ3.5T e-SC(韓国仕様)

新しいG90で特筆すべきは、インテリアだろう。既に充分豪華に感じられるクラス下のG80と比較しても、さらに印象を高めている。選択された素材だけでなく、設えや部品の組み立て品質、細部の仕上げに至るまでトップクラスだ。

シートはキルティング加工が施された柔らかいナッパレザーで仕立てられ、座り心地は素晴らしく、適度なサポート性も備わっている。ダッシュボードやドアパネルには、木材と新聞紙をリサイクルした素材による、印象的な装飾トリムがあしらわれている。

天井の内張りは、マイクロファイバー生地によるスウェード調。カーペットはパイル織りで毛足が長い。ロータリーダイヤルのシフトセレクターは、高級時計のように輝いている。スイッチ類もアルミの削り出し。すべてが見事な高級感を演出している。

運転席の正面には、12.3インチのメーター用モニターが据えられる。造形が美しいダッシュボードの中央には、更に大きなインフォテインメント用タッチモニターが埋め込まれている。下部には、エアコン用のタッチモニターが備わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グラハム・ヒープス

    Graham Heeps

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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