今後の電動モデルにも期待大 BMW iX 長期テスト(最終) レンジに並ぶ洗練性と快適性

公開 : 2023.07.22 09:45

特別なクルマだと知覚させるインテリア

インテリア・デザインは、BMWにとって大きな変化といえるだろう。ダッシュボード上には大きなタッチモニターのパネルが鎮座するが、主要な車載機能には実際に押せるハードボタンが嬉しいことに残され、操作性は高い。

内装の素材や製造品質は、さすがプレミアムブランドと呼べるもの。シートの座り心地は優秀で、細部のこだわりにも抜かりなく、特別なクルマであることを知覚させてくれる。

BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)

同僚の一部には、加速時に車内へ響く、サウンドデザイナーのハンス・ジマー氏が手がけた人工音を好まないという人もいた。反面、筆者は新しい取り組みとして高く評価している。もし聞きたくなければ、オフにもできる。

長期テスト車のボディカラーは、筆者のお気に入りになった。ホワイトやシルバーではなく、落ち着いたワインレッドで、ブロンズのボディトリムとの相性もバッチリ。他とは違うコーディネートを提供する、姿勢自体も評価したい。

長期テスト中、xドライブ50にはソフトウエアの不具合が生じ、短期間ながら代車としてM60をお借りした。こちらは緑がかったブルーに塗られ、更にiXの見た目を引き立てているように感じた。

ちなみに、ソフトウエアの不調はディーラーによって完治された様子。以降、再発していない。

BMWの今後の電動モデルにも期待を抱かせる

先日、大きなマイナーチェンジを受けたアウディQ8 eトロンへ試乗する機会があった。だが、洗練性や快適性、エネルギー効率だけでなく、特別感でも、同価格帯にあるiXの方が有利だと感じたことは否定できない。設計の素晴らしさを物語っている。

7シリーズのBEV版となる、新しいi7の仕上がりも素晴らしい。電動化へ推移する時代に、BMWは新たな方向性を見出したのかもしれない。iXは、これからの同社の電動モデルにも大きな期待を抱かせる、見事な仕上がりだったといえる。

BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)

セカンドオピニオ

BMW iXを、わたしはとても気に入っていた。威圧感を漂わせるような大きなSUVは、上級モデルでも評価が振るわない場合が多い。しかし極めて快適で、例外といえる印象を残してくれた。

走行時の静寂性、快適な乗り心地、パワートレインの応答性、インテリアの質感など、あらゆる面で優秀。BMW i4より一段上の仕上がりと表現してもいい。BMWが生んだレンジローバーと呼べる、傑作だと思う。  Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)

BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト BMW iXの前後関係

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