ビッグモーター ウソだらけローン契約 「強制」金利9.9%で120回払い

公開 : 2023.08.11 12:20

「120回ローンしか選べない」は完全な違法契約

「うちも同じくオプション21万円分を無料にしてくれると契約時に言われましたが納車時に契約書を確認したら全部有料になっていました」(勝山さん)

「また、ローンを組む際、営業担当者は『うちでは120回ローンしか受けてない』と言いました。それで仕方なく120回にしたんですが、金利を聞いてもなかなか教えてくれず、教えてくれたのは1か月の支払金額だけです。金利が9.9%であることは嫌そうにやっと教えてくれました」

ラインアプリで送られてきた契約書の写真。
ラインアプリで送られてきた契約書の写真。

さらに勝山さんいわく、信販会社からの確認の電話についても驚く回答だったという。

「営業担当者から『このあとジャックスから確認の電話が行きます』と言われたので待っていたところ、電話が掛かってきました。しかしそこで聞かれたのは、「車種」「年式」「中古車の納車日」この3つだけでした」

「金利や毎月の支払額や総支払額、ローンの回数などの確認はありませんでした」

「確認がなかったことをジャックスに聞いたんですが、「電話で説明しているはずだ」と突っぱねられてしまって……」

「わたしはローン契約書さえも紙ではなくラインアプリで送られてきただけです。重要な約款についても受け取っていません」

勝山さんの発言の中にある
・120回ローンしか組めない。(割賦販売法他に抵触?)
・金利9.9%をなかなか教えてくれない。(景品表示法では実質年率が明瞭に記載されていない場合を不当表示として規定)

このほか
・「無料で付けます」といったオプション品が有料で請求されたこと
・信販会社からの確認の電話で「車種/年式/納車日」しか聞かれていないこと
・オートローンの約款を渡されていないこと
なども通常ありえないことだ。

審査に落ちる人でもビッグモーターなら組める?

中古車販売店と消費者金融を経営していた男性はビッグモーターと信販会社との契約があまりにも杜撰だと驚く。

「オートローン会社はお客さんに対して必ず申し込み金額、支払い回数、支払い総額を確認して初めてOKになります」

「また、約款、契約書は手元にありますか? の確認が必ずあります。これらを電話でおこなって最終確認とします」

「約款は非常に重要なもので、契約時にパソコンやタブレットの画面で見せるのでは無く、契約書と合わせて渡されます。もちろんそこには金利も明示されているはずです」

また、120回ローンを勧めるのももちろん、ビッグモーター側に大きな利益があるからに他ならない。

「支払い回数が増えるほどキックバックの金額も大きくなりますからね。もちろん、アドオン方式(回を追うごとに金利が上がる)であっても早期完済の方が金利の戻りは多く有りますが、そこは1年未満かどうかがポイントになるでしょう」

「1年以内に契約者が完済した場合はキックバックを信販会社に返金しなくてはなりません。いっぽう、1年以上が経過してから完済は、受け取ったキックバックを返金する必要はありません」

なるほど、ビッグモーター含め、信販会社系のオートローンを扱っている中古車販売店では、しきりに「1年間だけローンを組んでください」「120回ローンを組んで最初の1年だけ払ってあとはまとまったお金ができたら一括返済してもらっていいですよ」と客に懇願するわけだ。

つい最近までビッグモーターで営業社員として中古車を売っていた男性にも話を聞いてみた。

「ビッグモーターのベース金利は9.9%でした。ですが営業側で4.9%まで変更できるのでわたしは下げて販売をしていました」

「また、オートローン審査が通らない人は9.9%にして、保険をかけた会社が負担する感じですね。月々の支払額に納得されない人とかは金利下げてでも売るって感じです」

「わたしがいた店はそこまで不正に関与してないと思われるので120回で組む人の方が少ない印象でした」

「この間、わたしが販売したお客様には問題なく審査に通ると思ったので金利の低い銀行ローンを勧めましたが、基本的には自社ローン組む前提で話を進めます」

「半分くらいは単体(保証人なし)だとローンの審査に通らないです。ローンブラックの人もかなり多いです」

「基本はジャックスですが、ジャックスで審査が通らなかったらオリコかプレミアで再審査というイメージです。オリコとプレミアは審査が怪しい人だと販売店に『キックバック無しでいいなら審査OKです』ってよく連絡が来ます」

「銀行などの審査に通らないからビッグモーターでローンを組んで買う人も少なくないです」

なかなかディープな世界ではあるが、最盛期は年間12〜13万台を販売していたビッグモーター。山口県の個人商店が年商7000億円の一大企業に急成長した背景には「ローン審査に通りにくくても、ビッグモーターなら金利は高いがローンが組める」という事実も大きく後押ししていたのだろうか。

銀行ローンに通る与信がある人でも、なんだかんだと言いくるめてビッグモーターでローンを組むよう強制されていたと思わざるを得ない例がいくつも寄せられている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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