マクラーレンP1 後継車に「技術的ステップアップ」 軽量EV開発中、2030年頃発売へ

公開 : 2023.08.15 18:05

マクラーレンP1の後継となるバッテリーEVは、2020年代後半に完成するとのこと。重量級の高出力モデルではなく、750Sのような軽量モデルを目指していると同社CEOが語りました。

「2000kgのクルマは作りたくない」

マクラーレンP1の後継となる次世代車は、2030年頃にバッテリーEVとして登場する見込みである。

2012年のP1発表以来、マクラーレンはその後継車には技術的なステップアップが必要だとたびたび語ってきた。同社はその後、セナ、スピードテール、エルバ、ソーラスGTなど複数のハイパーカーを投入してきたが、1992年のF1やP1と同じ系譜にあるものはなかった。

マクラーレンのフラッグシップEVは軽量化が鍵となる。(予想レンダリングCG)
マクラーレンのフラッグシップEVは軽量化が鍵となる。(予想レンダリングCG)    AUTOCAR

しかし現在、今後10年を見据えて進められるバッテリーEVドライブトレインの開発により、P1後継車投入の可能性はかつてないほど高まっている。

マクラーレンの最上位モデルの開発は進められているのかとの質問に対し、同社のあるマイケル・ライターズCEOは次のように答えた。「はい、かなり忙しいですよ」

ライターズ氏は同社のパワートレイン開発において、EVが内燃エンジンやハイブリッドと並ぶ3本柱の1つであると述べた。しかし現状では、EVのスーパーカーについて「確信が持てない」としている。

「その主な理由は重量です。2000kgで2000psのクルマは作りたくない。それはマクラーレンのDNAにはないのです」

「重量的には750Sに匹敵するクルマを作りたい。2000psは必要ありません。そのためのコンセプトを練り、模索しています。しかし、ICEでマクラーレンがやっていることを上回るものでなければなりません」

この「上回る」とは、純粋な出力や性能数値だけでなく、ハンドリングやアジリティのことも指している。

ライターズ氏は、そのようなEVが「おそらく2020年代の終わり頃」には出来上がると予想している。それがハイパーカーなのか、あるいはスーパーカーなのかという位置づけについては「一般的に、新しい技術を導入する最善の方法はトップダウンだと思います」と語った。

一方で、マクラーレンの顧客からは「EVが欲しい」という要望はまだないという。

「ですが、留意する必要はあります。時代は変わりつつあり、新しい時代に備えなければなりません。750Sの成功は、当社の顧客がICE車を愛していることを示していますが、もしかしたら他のものに興味を持っている顧客もいるかもしれません」

ライターズ氏は、単一の技術で世界のすべてのユースケースをカバーすることに疑問を抱いているため、eフューエル(合成燃料)を使用する新車の販売継続を認めるというEUの提案を歓迎した。

「当社のようなユースケース、つまり少量生産で低走行距離の場合、EVを生産するために排出ガスに多くの投資をしなければなりません。それをどうやってライフサイクルで回収するのか。つじつまが合わないでしょう? ですから、意思決定を行う環境と状況を常に考慮することが非常に重要だと思います」

マクラーレンは、EVモデルを発売する前に、V8ハイブリッド・スポーツカーの新しいモデルラインを導入する計画を明らかにした。同社は今年初め、「軽量かつ高性能なハイブリッド・スーパーカー」向けの新世代のV8エンジンを製造するため、英国サセックス州に本拠を置くエンジンサプライヤー、リカルド社とのパートナーシップを更新したと発表している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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