史上最強モデル、欧州スーパーカーに「挑戦状」 フォード・マスタングGTD 公道向けのレーシングカー

公開 : 2023.09.18 18:45

・マスタング史上最強の800ps超を発揮するスーパーチャージャー付き5.2L V8を搭載。
・欧州のスーパーカーに「挑戦状を叩きつける」というサーキット特化モデル。
・カーボンボディにフルエアロ、でも公道走行は可能。

対抗心を隠そうとしないサーキット特化モデル

フォードは、サーキット走行に特化したマスタングの高性能モデル「GTD」を発表した。公道走行可能な市販のマスタングとしては、史上最もパワフルなモデルとなる。

2024年後半から台数限定で生産される予定で、米国価格は約30万ドル(約4430万円)から。他の市場にも割り当てがあるとのことだが、現段階では詳細は未定だ。

フォード・マスタングGTD
フォード・マスタングGTD    フォード

マスタングGTDは、フォードのミシガン本社にある匿名のガレージで「欧州のスポーツカーの最高峰に挑むマスタング」を目指し、「一握り」のエンジニアたちによって「時間外」に考案されたと言われている。

ドイツのニュルブルクリンク・サーキットで7分以下のラップタイムを目標としており、これはポルシェ911 GT2 RS、ランボルギーニアヴェンタドールSVJ、メルセデスAMG GTブラックシリーズなどの欧州スーパーカー勢と肩を並べる数字である。

フォードのジム・ファーリーCEOは次のように語っている。

「マスタングGTDは、スーパーカーに対するあらゆる既成概念を打ち砕きます。これはわたし達にとって新しいアプローチです。サーキット用のロードカーを設計したのではなく、ロード用のレーシングカーを作ったのです」

「これがわたし達の会社です。『かかってこい』と挑戦状を叩きつけているのです。他の全員に知らせることにも抵抗はありません。わたしがマスタングGTDでサーキットを走れば、最高のロードカーに乗った他社のボスにも対抗できるでしょう」

マスタングGTDは、スーパーカーのフォードGTを製造したモータースポーツ関連企業マルチマティックとのパートナーシップによって設計・デザインされている。事実上、来年のル・マン24時間レースに参戦するマスタングGT3を公道走行可能な形で作り直したものである。

GTDという車名は、米IMSAスポーツカー選手権のGTDクラス(FIAのGT3に相当)にちなんで与えられた。

最高出力800ps以上 史上最強モデル

搭載されるスーパーチャージャー付き5.2L V8エンジンの目標出力は800psを超え、2019年のシェルビーGT500(最高出力760ps)をも凌ぐ、史上最強のマスタングとなる。昨年公開されたサーキット専用車、GT Mk IVよりもさらにパワフルだ。

エンジンは標準仕様と大きく異なり、ドライサンプ方式、2基のエアインレット、チタン製アクティブバルブ排気システム(「並外れた音」を発生する)など、モータースポーツに由来する一連の改造を施している。

フォード・マスタングGTD
フォード・マスタングGTD    フォード

駆動力は、カーボンファイバー製シャフトによってエンジン後部からリア・トランスアクスル・トランスミッションに伝達される。

シャシーも通常のマスタングとは根本的に異なる。フロントサスペンションは古典的な不等長ダブルウィッシュボーンを洗練させたもので、上部に1本の三角ウィッシュボーン、下部に2本のリンクが配置されている。サスペンションユニットには、マルチマティック社製のアダプティブ・スプール・バルブ(ASV)ダンパーが組み合わされており、ソフトウェア制御により数ミリ秒単位でダンパー設定を調整できる。

コイルオーバーには、通常のシングルスプリングではなく、それぞれ硬さの異なる2つのコイルスプリングが採用されている。サーキットモードでは油圧機構で圧縮することで、硬い方のスプリングだけを残してバネレートを上げることができる。車高も公道設定より40mm下がる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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