B9系の最後を飾る限定仕様 アウディRS4 アバント・コンペティションへ試乗 実用性と積極性

公開 : 2023.09.06 08:25

モデルチェンジを控えた現行RS4の最強仕様、コンペティション。B9系の最後を飾る特別仕様を、英国編集部が評価しました。

RSスポーツ・サス・プロが標準装備

アウディがRS4 アバントの限定仕様、コンペティションを発表したのは2022年。それから数か月を経て、やっとグレートブリテン島への上陸を果たした。オシャレにうるさい英国人のために、カッコいいホイールを入念に磨いていたのかもしれない。

英国へ導入されるRS4 アバント・コンペティションは、75台のみ。すべてが写真の通り、グロス・ブラックに塗装されて届けられる。

アウディRS4 アバント・コンペティション(英国仕様)
アウディRS4 アバント・コンペティション(英国仕様)

通常のRS4 アバントとの違いは多岐に渡る。英国仕様の場合、フロントバルクヘットに取り付けられる防音材が薄くなり、美声を響かせる専用エグゾーストシステムが標準で組まれる。

目玉といえるのが、KW社製の車高調整式コイルオーバー・ダンパー。RSスポーツ・サスペンション・プロと呼ばれる、高性能なアイテムが与えられている。

出庫時の時点で、通常のRS4 アバントより車高は10mm低い。ジャッキアップして工具で調整すれば、さらに10mm低くすることもできる。剛性の増したアンチロールバーも組まれ、タイトな走りを叶えている。

ダンパーのダイヤルを回せば、減衰力は3段階から選べる。従来と異なり運転席からは特性を変更できず、タイヤを外す必要があるという事実が、コンペティションのシリアスぶりを物語る。

スポーツ・リアディファレンシャルも装備される。クラッチベースのトルクベクタリング機能を備え、専用の制御特性を得ているという。ステアリングレシオも、比較的クイックな13.1:1の固定式になる。

洗練されたRS4 アバントの個性は変わらない

かなりの変更が加えられたといえるコンペティションだが、試乗車を運転してみた限り、RS4 アバントの個性はそのままだった。ダンパーは乗り心地重視で、車高は通常の10mmダウンという設定なら。

最大のライバル、BMW M3 ツーリングと比較して、ドライビング体験のアグレッシブさは控えめ。路上での容姿も、筆者の印象としては、落ち着きが残されている。

アウディRS4 アバント・コンペティション(英国仕様)
アウディRS4 アバント・コンペティション(英国仕様)

理想的なモデルを何台か選ぶ時、多くのドライバーがRS4 アバントをその1台にノミネートさせると思う。筆者も、その考えにはうなずける。

通常のRS4 アバントは洗練度が高く、一般道をスムーズに走れる。コンペティション仕様でも、それはまったく変わらない。乗り心地には若干の硬さが出ているものの、姿勢制御には締まりがあり、不快に感じさせるほどではない。

コーナリングやブレーキング時のボディの傾きは限定的。ステアリングホイールは軽く回せ、反応はクイック。強い一体感をもたらすほどではないものの、自然で、全体の設定にまとまりがあり心地良い。

ロードノイズが抑えられているから、舗装の古い高速道路でも問題無く長時間運転できるだろう。それでいて、気持ちが高ぶるワインディングへ差し掛かれば、不満なく応えてくれるに違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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