ヨーロッパのハイエース フォード・トランジット・カスタムへ試乗 仕事に使える機能が多数

公開 : 2023.10.23 19:05

洗練されたドライブトレイン 荷室は広大

ディーゼルエンジンは、2.0Lの4気筒ターボ。最高出力は109psから170psまでの4段階で選べる。燃費効率は従来から6%ほど改善し、12.0km/Lがうたわれる。

トランスミッションは6速マニュアルが標準。ZF社製の8速オートマティックも選択できる。ドライブトレインは洗練された印象で、ATを選ぶと一層ストレスフリーに仕事をこなせるだろう。

フォード・トランジット・カスタム・リミテッドL1H1 320(英国仕様)
フォード・トランジット・カスタム・リミテッドL1H1 320(英国仕様)

サスペンションは、リア側も新開発の独立懸架式。試乗車の最大積載量は1275kgだったが、600kg程度の荷物を積んだ状態で、粗野なバウンドなどは殆ど生じていなかった。

ステアリングホイールの反応は正確で、レシオもクイック。従来より軽く回せる。動的特性が二の次になりがちな商用バンだが、高く評価できる変化といっていい。

乗り心地は硬めながら、減衰力特性に優れ、不快に感じるほどではない。ロードノイズや風切り音も、抑えられているようだった。エンジンノイズのないバッテリーEV版でも、大きく目立つことはなさそうだ。

制限速度の認識機能など、運転支援システムも備わる。トランジットからドライバーが降りると、自動的にハザードランプが点灯したりドアがロックされるなど、業務を支援するデリバリーアシスト機能も追加できる。

もちろん、荷室は広大。容積は5.8から6.8立方メートルあり、積載量は1350kgまで対応する。トレーラーの牽引能力は最大2.8tまで。雪道や悪路で頼もしい、四輪駆動も指定可能だ。

トランスポーターより安い価格設定

お値段は、英国の付加価値税を抜いて3万2350ポンド(約585万円)から。先代のトランジットより1割ほど高くなったものの、フォルクスワーゲン・トランスポーターと比べれば安い。

スタイリングを一新し、歓迎されるであろう新機能が数多く盛り込まれた新型トランジット。発売時期的に、2023年のベストセラーにはなれないかもしれないが、来年は再びその座を奪還することだろう。

フォード・トランジット・カスタム・リミテッドL1H1 320(英国仕様)
フォード・トランジット・カスタム・リミテッドL1H1 320(英国仕様)

◯:頼もしい運搬能力、乗用車に近いドライブフィール、数多くの使える新機能
△:見た目優先に感じるデザインがチラホラ

フォード・トランジット・カスタム・リミテッドL1H1 320(英国仕様)のスペック

英国価格:3万2350ポンド(約585万円)
全長:5050mm
全幅:1968mm
全高:2275mm(ドアミラー含む)
最高速度:175km/h
0-100km/h加速:14.0秒(予想)
燃費:12.0km/L
CO2排出量:−
車両重量:1892kg
パワートレイン:直列4気筒1996ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:150ps
最大トルク:36.7kg-m
ギアボックス:6速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョージ・バロウ

    George Barrow

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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