SLと同じ新技術をゲレンデに 改良版 メルセデスAMG G 63へ同乗 611psのマイルドHVも

公開 : 2023.11.08 19:05

最強オフローダーの1台、Gクラスが小改良 目玉はセミアクティブ・サスペンション オンロード/オフロードで能力を拡大 英国編集部が助手席へ同乗

SLやGTと同じセミアクティブ・サス

メルセデスAMG G 63が、2024年仕様としてアップデートを受ける。バッテリーEV版のEQGとともに、来年の半ばから欧州ではディーラーへ並ぶ予定だ。

今回、助手席への同乗が許されたGクラスは、そのプロトタイプ。多くの技術的な改良が施されるようだが、その目玉となるのが、新しいメルセデスAMG SLやGTなどにも採用されている、セミアクティブ・サスペンションとなる。

2024年仕様 メルセデスAMG G 63 プロトタイプ
2024年仕様 メルセデスAMG G 63 プロトタイプ

V8ツインターボエンジンを搭載するG 63のオプションとして設定され、従来的なアンチロールバーは不要になる。電気油圧式フローバルブを備えるダンパーが左右で相互接続され、連続的に収縮・伸長それぞれの減衰力を変化させることが可能になる。

走行速度やステアリングホイールの切れ角、ボディの傾き、走行モードなど様々な条件に応じてシステムが反応。前後左右のダンパーが個別に制御される。

例えば、片側のタイヤへ上向きの力が加わると、ダンパー内のピストンが上方へ移動。フルードが反対側のダンパーへ流れ、最適な減衰力へ調整されるという。

メルセデスAMGによれば、このシステムで姿勢制御や乗り心地、悪路性能が高まるとしている。今後、他のモデルにも同様の技術を展開していく計画らしい。

611psと86.5kg-mのマイルド・ハイブリッドも

左右の平均的なダンパーの硬さは、前後に1基づつ搭載されるアキュムレーター(蓄圧器)の制御で調整される。これは窒素ガスが充填された金属の球体で、内部に設けられた柔らかい膜によって、ダンパー内のフルード量やシステム内の圧力が調整される。

収縮時と伸長時、それぞれ独立して制御できる点が強み。従来以上に幅広い減衰力特性に加えて、余裕のあるサスペンション・ストロークも得られるという。従来のアンチロールバーとダンパーを置き換えることで、軽量化にも繋がるそうだ。

2024年仕様 メルセデスAMG G 63 プロトタイプ
2024年仕様 メルセデスAMG G 63 プロトタイプ

また2024年仕様のGクラスには、新しいマイルド・ハイブリッドも導入される。既にGLE 63へ搭載されているシステムと同一といえ、4.0L V8ツインターボ・ガソリンエンジンに、電圧48Vで稼働するスターター・ジェネレーター(ISG)が組み合わされる。

ISGの性能は、21psと25.3kg-m。システム総合で611psと86.5kg-mになる。

そんな新しいG 63のプロトタイプの助手席へ同乗したのは、ドイツ・ライプツィヒ郊外の一般道とオフロード。同社のサスペンション開発で指揮を取る、ラルフ・ハウグ氏へお話を伺いながら。

彼は、「サスペンション開発での大きな飛躍です」。と自信を隠さない。Gクラスへセミアクティブ・サスペンションの採用が決まったのは、新しいSLとGTの開発を終えた後だったという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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