アウディR8 17年間の集大成に日本向け8台限定車 ジャパン・ファイナル・エディション

公開 : 2023.12.15 11:45

アウディR8とモータースポーツでの功績を振り返る

アウディR8の変遷とモータースポーツでの功績

自然吸気V型10気筒エンジンは、2009年初頭に登場したアウディR8に設定され、直噴システムを備え排気量は5.2Lで最高出力は525psであった。

2010年発売のアウディR8GTエディションでは、この10気筒エンジンは560psを発生し、アウディR8 V10プラス(2012年以降)では550psを発生した。

アウディR8クーペ・ジャパン・ファイナル・エディション
アウディR8クーペ・ジャパン・ファイナル・エディション

2015年に登場した第2世代のR8では、FSIエンジンを徹底的に見直し、インテークマニホールドに燃料噴射システムを追加することにより排出ガス特性を改善し、シリンダー・オン・デマンド(COD)システムが部分負荷状態で片バンクの5気筒を休止させることで燃費を向上、5.2L FSIエンジンのポテンシャルが引き上げられ、さらにダイレクトに反応し鋭くなったという。

販売当初、540psおよび610psのバージョンを選択可能で、その後のアップデートで、出力が570psおよび620psに強化された。

モータースポーツのテクノロジーを反映したこのV10ユニットの大きな特徴は、最大8700rpmまで回る高回転型エンジンであること、そして搭載位置を低くすることができるドライサンプ潤滑システムを採用していることだとアウディは述べる。

V10エンジンのバンク角は90度で、クランクシャフトは左右のバンクで共通のクランクピンを使用し、点火タイミングは54°と90°の不等間隔となっている。1-6-5-10-2-7-3-8-4-9の点火順序により、独特な脈動とこのエンジン独自のサウンドが生み出されるとアウディは語る。

最高回転数の8700rpmでは、ピストン速度は平均26.9m/sに達し、当時のF1マシンのエンジンを凌ぐ数値であった。この速度ではピストンは反転ポイントで約2トンの荷重に相当する加速度を受けるという。

このエンジンは、サーキットでも大きな成功を収め、2009年にはアウディR8 LMSがGT3クラスにデビュー。2012年にはR8 LMSウルトラ、2015年には第2世代のR8 LMSが登場した。

第2世代のR8 LMSは、2018年の秋にアップデートが施され、2018年初頭には、アウディ・スポーツ・カスタマー・レーシング・プログラムにR8 LMS GT4が投入された。

GT3/GT4両カテゴリに搭載されているエンジンと、市販バージョンに搭載されている5.2 FSIエンジンとの違いはごくわずかで、デュアルインジェクションシステムの廃止/インテーク経路にエアリストリクターの設置/制御ユニットのマッピング変更/ベアリングシェルの改良だという。

5.2 FSIエンジンのサービスインターバルは1万km、初回オーバーホールまでのインターバルは2万kmに設定され、モータースポーツの世界において新たな基準を打ち立て、長いサービスインターバルは参戦チームに利点をもたらしたとアウディは述べた。

アウディR8 LMS GT3は15年間の歴史の中で、119回の総合優勝/180回のクラス優勝/24時間レースで16回の総合優勝/12時間レースで14回の優勝を獲得しその実績を締めくくった。アウディR8 LMS GT4は、14回のドライバーズタイトル獲得/他のカテゴリでの34回の優勝、アウディR8 LMS GT2も8回のドライバーズタイトルと4つのカテゴリタイトルを獲得した。

日本ではスーパーGT GT300クラスにアウディ・チーム・ヒトツヤマがアウディR8 LMS GT3で10年連続参戦、3回のクラス優勝を獲得した。

今年2023年にはチーム・ルマンが同じくGT300クラスにアウディR8 LMS GT3で参戦し、3回の表彰台を獲得している。アウディR8のレーシングバージョンR8 LMSは、スーパー耐久シリーズで活躍したアウディR8 LMS GT4とともに、日本のモータースポーツシーンで優れたパフォーマンスと高い耐久性を証明したとアウディは付け加えた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

関連テーマ

おすすめ記事

 

アウディの人気画像