これぞ「ジャガーのビッグクーペ」 XK8/XKR(X100型) Catsで快適 英国版中古車ガイド 

公開 : 2023.12.29 19:05

新車時代のAUTOCARの評価は

XK8には、これまで体験してきた中でも最高のパワートレインの1つが載っている。4.0L V8エンジンと5速ATが融合し、極めて迅速でありながら、高速道路を穏やかにクルージングできる。

これほどシームレスな体験を与えるモデルは、極めて珍しい。そして何より、運転そのものが非常に楽しい。(1996年10月2日)

ジャガーXK8(1996〜2005年/英国仕様)
ジャガーXK8(1996〜2005年/英国仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

ピーター・フェアバーン氏

「XKRのコンバーチブルを、15年間ほど所有しています。2000年式ですが、走行距離は約9万km。車検の前に、毎回サビがないか入念に検査してもらいます。リアのサブフレームが錆びることで有名で、交換はかなり高く付くんですよ」

ジャガーXKR コンバーチブル(1999〜2005年/英国仕様)
ジャガーXKR コンバーチブル(1999〜2005年/英国仕様)

「最近、エンジンの回転が乱れた時は、エアフローメーターが原因でした。ソフトトップの開閉システムからフルードが滲み始めたので、一式交換しました。よくある不具合ですね。燃費は、丁寧に扱えば8.0km/Lくらいは得られます」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

2000年までに製造されたエンジンには、ニカシル合金のシリンダーライナーが用いられていたが、錆びる。それ以降は鋳鉄製のライナーへ交換されている。

4.0Lユニットには、樹脂製のタイミングチェーン・テンショナーが用いられており、破損する場合がある。冷間時の始動で、ガラガラと異音が出ないか確かめたい。

ジャガーXK8(1996〜2005年/英国仕様)
ジャガーXK8(1996〜2005年/英国仕様)

滑らかに回転し、鋭いレスポンスが正常。スロットルセンサーやスロットルボディ、点火コイル、エアフローメーターなどが不調の主な原因。XKRでは、スーパーチャージャー内のベアリングから異音が生じる場合がある。

トランスミッション

5速のZF社製ユニットは密閉式だが、フルード交換は必至。ただし作業は簡単ではなく、専門家へ依頼する必要がある。ギアが抜けたり滑るような場合は、フィルターの詰まりが原因かもしれない。

サスペンションとステアリング

サスペンションのブッシュ類は、寿命を迎えていて不思議ではない。乗り心地が安定しなかったり、タイヤの偏摩耗が酷い場合や、足まわりからコツコツと音が出るなら、交換時期のサイン。

オプションのCatsシステムは、制御ワイヤーの摩耗や、ダンパーからのフルード漏れが起きがち。2000年式以前のモデルでは、ステアリングコラムが劣化しやすい。修理には相当な金額が必要になる。

ボディとインテリア

クリア層の剥がれやバンパーの変形、サイドシルやサブフレームのサビがないか確かめたい。見えない内側で、酷く腐食が進んでいることがある。ヘッドライト・カバーのひび割れにも注意したい。後方視界が悪く、リアバンパーなどには擦り傷が付きがち。

シートのサイドサポートの破れ、ウッドトリムの劣化、電気系統の不調などは定番。カーナビは旧式なので、使えなくても気にする必要はないかも。キーが複数備わることも確認したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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