これぞ「ジャガーのビッグクーペ」 XK8/XKR(X100型) Catsで快適 英国版中古車ガイド 

公開 : 2023.12.29 19:05

滑らかで堂々としたボディに、大排気量エンジンを積んだジャガーXK8 XKRはスーパーチャージャーで過給 価値あるビッグ・ジャガーを英国編集部が振り返る

新開発の4.0L V型8気筒と5速AT、Catサス

「センセーショナルな新型XK8へ初試乗!」。1996年10月のAUTOCARの表紙に、そんな見出しが踊った。だが試乗評価を読まずとも、XJSの後継モデルがどんな印象を与えるのか、多くの読者は恐らく想像できただろう。

その時に試乗したジャガーXK8は量産前のプロトタイプで、ダッシュボードやドアパネル、シフトレバーの仕上がりが完璧ではなかった。だが、インテリアの小さな課題を除いて、批判するような部分は殆どなかった。称賛する言葉が続いた。

ジャガーXK8(1996〜2005年/英国仕様)
ジャガーXK8(1996〜2005年/英国仕様)

XK8のクーペは、1996年のスイス・ジュネーブ・モーターショーで発表。コンバーチブルも直後に追加された。

エンジンは、新開発の4.0L V型8気筒。オールアルミ製でツインカムヘッドが載り、最高出力294ps、最大トルク40.0kg-mを発揮した。エンジンの制御システムも新開発で、洗練性が高く、燃費も良好といえた。

トランスミッションは、ZF社製の新しい5速オートマティック。ほぼ感知できない滑らかなシフトアップと、的を得た鋭いシフトダウンに、試乗したスタッフは感銘を受けている。特徴といえるJゲートを滑らせ、2速、3速、4速と選ぶことも、喜びだった。

動力性能はクラストップへ並び、0-100km/h加速は6.6秒。80km/hから112km/hの中間加速は、3.5秒でこなした。

ジャガーは、顧客が望むものを理解していた。オプションのコンピューター・アクティブ・テクノロジー・サスペンション(Cats)には、4モードが用意され、ジャガーらしい快適性も備わった。操縦性も犠牲になっていなかった。

数度のアップデート 価値あるビッグ・ジャガー

1998年に、スーパーチャージャーで過給したXKRが登場。最高出力は375psへ上昇し、0-100km/h加速を1秒短縮した。エッジの効いたサウンドも、大きな魅力になった。

XKRでは、ボンネットにルーバーが切られ、フロントグリルは専用品。サスペンションにチューニングを受け、鋭い走りも与えられていた。

ジャガーXK8(1996〜2005年/英国仕様)
ジャガーXK8(1996〜2005年/英国仕様)

このタイミングで、XK8の5速MTは堅牢なメルセデス・ベンツ製ユニットへ置換。サーボトロニックIIと呼ばれる、パワーステアリングも装備されている。

2002年にビッグマイナーチェンジ。V8エンジンの排気量は4.2Lへ拡大され、最高出力はXK8で304ps、XKRで405psへ上昇。ATは、ZF社製の6速へアップデートされた。

2004年にはスタイリングへ手が加えられ、新しいフロントグリルとリアスポイラーを獲得。アグレッシブな容姿になった。

装備は充実し、エアコンとレザー張りのパワーシート、高音質ステレオなどが標準。スポーツやクラシックなど、複数のトリムグレードを選択できた。アルミホイールやボディカラーは定期的に入れ替わり、限定仕様も複数リリースされた。

ジャガーらしいクラシカルな見た目のXK8だが、購入するなら状態確認は欠かせない。走行距離が少なく、パリッとした印象を残す例なら、間違いはないだろう。

後期型の極上車になると、Fタイプ中古車も狙える予算が必要になる。しかし、そこまで気張らなくても、価値あるビッグ・ジャガーを手に入れられるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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