2台のポルシェ911もノミネート

鳥肌モノのトップスピードとサウンドを叶えるランボルギーニが、BBDC選手権へノミネートすることは珍しい。悪路を前提としたオールテレイン・タイヤを履くウラカン・ステラートが、2023年の戦いを制する可能性は低いように思う。

そもそも、ベースとなったランボルギーニ・ウラカンの登場は2014年。改良を重ねたとはいえ、注目に値する進化を得ているのだろうか。

ブラックのアリエル・アトム 4Rと、ダークブルーのアウディRS7 スポーツバック・パフォーマンス
ブラックのアリエル・アトム 4Rと、ダークブルーのアウディRS7 スポーツバック・パフォーマンス

ポルシェ911 ダカールは、ウラカン・ステラートとどんな違いを浮き彫りにするのだろう。この2台は、スーパーカーというカテゴリーに、まったく新しい解釈を持ち込んだ。

派生モデルのように、クロスオーバー化された見た目のおかげで、真剣に受け止められない可能性はある。だが、目からウロコといえる発見があるかもしれない。ポルシェ911 GT3の進化版といえる、911 GT3 RSに逆風が吹く可能性はゼロではない。

アングルシー・サーキットでの2日間が天候に恵まれれば、歴代で最もクローズドコースへ焦点が向けられた911 GT3 RSにとって、有利な展開となるだろう。しかし、例によって気温は低く、雨が予報されている。舗装も傷んでいる。

悪天候を物ともしないのが、アリエル・アトム 4R。アグレッシブな見た目とは裏腹に、あらゆる条件下での能力へ審査員は感服し、ベースモデルのアトム 4は過去に優勝を掴んでいる。果たして、その進化版やいかに。

究極といえる内容のプロドライブP25

レストモッドを受け、大幅にアップデートされたクルマもノミネートした。ブルーのプロドライブP25は、世界ラリー選手権で記憶を刻んだ、1997年のスバルインプレッサのオマージュ。現代の技術を活かし、究極といえる内容に仕立てられている。

ボディパネルは、すべてカーボンファイバー製。車重は1200kgで、スバル製2.5L水平対向4気筒から、456psが引き出されている。ラリーカーのようにアンチラグ・システムを積み、トランスミッションはパドル付きの6速シーケンシャル・マニュアルだ。

レッドのトールマン・エディション205 GTiと、ホワイトのポルシェ911 GT3 RS
レッドのトールマン・エディション205 GTiと、ホワイトのポルシェ911 GT3 RS

英国での価格は55万2000ポンド(約9660万円)と、こちらも究極的。それでも、生産が予定されている25台は、既に完売したという。

真っ赤なトールマン・エディション205 GTiも、レストモッド・モデル。見た目は懐かしいプジョー205 GTiのままといえるが、その内側には、最新技術による徹底的な仕事が隠されている。まずはこのクルマから、評価を始めよう。

エンジンは、1.6Lと1.9Lが選べるそうだが、今回やってきたのはワークス・スペックの後者。当時は叶わなかった16バルブのヘッドをオリジナルのブロックへ移植し、モーテック社製のECUとバイワイヤ式スロットルで制御される。

5速MTはフルリビルド。リミテッドスリップ・デフはクワイフ社製。エグゾーストはステンレス・パイプで新調され、サスペンションも専用チューニングだ。車重は895kgと軽く、202psをフロントのミシュラン・パイロットエグザルト・タイヤが受け止める。

この続きは、BBDC 2023(3)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権 2023の前後関係

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