クルマ漬けの毎日から

2025.01.20

ブリティッシュ・モーターミュージアムに展示されている1台のT型フォード。それは、かつてロンドンからジュネーブまでクロプリー編集長が運転した、まさにあの時のT型フォードでした。28年振りの再会です。

28年振りの再会! 思い出のT型フォード【クロプリー編集長コラム】

もくじ

イギリス製 T型フォード
ボディカラーの変更

イギリス製 T型フォード

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)
1908年に誕生したT型フォード。1911年にはイギリスのマンチェスターでも製造開始。クロプリー編集長の思い出のT型フォード(画像)は、イギリス製の1912年モデル。4気筒/2890cc/28bhpのガソリンエンジンを搭載し、最高速は42mph(68km/h)。

ブリティッシュ・モーターミュージアム(イングランド中部のゲイドン)を訪ねた。同僚のマット・プライアと私はよく彼の家でポッドキャスト「My Week In Cars」の収録をしているが、この自動車博物館はマットの家から近いので、収録後にぶらりと立ち寄ったのだ。

今回驚いたのは、見覚えのある古い4輪車がミュージアムのロビーに展示されていたこと。それは「トーピード」と呼ばれるボディスタイルを持つ、1912年モデルのT型フォード(登録ナンバー:DN 362)。

このT型フォードはマンチェスターのトラフォードパークで製造された。イギリスで製造されたT型フォードのなかでは、現存するものとして2番目に古い。

1997年3月、コーリン・グッドウィン(自動車ジャーナリスト)と私は、まさにこのT型フォードの個体を運転して、ロンドンの中心部からはるばるスイスのジュネーブショーの会場まで旅をした。

そして到着後には、当時フォードのグローバルプレジデントだったジャック・ナッサー氏に会って、このクルマのことを話した(当時ジュネーブショーは1年の重要イベントの1つだった)。T型フォードでの長距離ドライブは、コーリンにとっても私にとっても、この仕事をしていてもっとも貴重な体験の1つとなっている。

ボディカラーの変更

ヘンリー・フォードの組み立てラインは、当時の生産時間を8分の1に短縮。この大量生産の手法により、T型フォードは手頃な価格で販売され、特別なお金持ちでなくても所有可能なクルマになった。

ところで、このクルマのボディカラーは、私たちがジュネーブまで運転した当時とは異なっている(当時は赤だった)。

だが、ブリティッシュ・モーターミュージアムの収蔵責任者のスティーブン・ラング氏によれば、このT型フォードはまちがいなく私たちがスイスまで運転した個体だという。思いがけずこのT型フォードに再会できたのは、じつに嬉しい出来事だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。

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