クルマ漬けの毎日から

2025.08.03

最高に素晴らしかった! 今年のグッドウッド【クロプリー編集長コラム】

第1日目(午後):ロードレーシングクラブ

私も所属している「グッドウッド・ロードレーシングクラブ」は、フェスティバル・オブ・スピードの開催時にゲストを招待してトークイベントを行なう。今回は、デザイナーのエイドリアン・ニューウェイと、元F1ドライバーでインディ500の優勝者でもあるダニー・サリバンが招待されていたが、ニューウェイは土壇場でキャンセルした(レッドブルのクリスチャン・ホーナーの解任が話題になるのを避けたかったのかもしれない)。

代わりに、ハースF1チーム代表を務める小松礼雄(あやお)氏が登場。サリバンも非常に面白い話をたくさんしてくれたが、私は小松氏に大いに魅力を感じた。小松氏はどのチーム代表とも異なり、自らF1マシンを操縦して、グッドウッドのヒルクライムに参加したのだ。

ある記者が、F1カーのスイッチ類、ライト、ディスプレイといったドライバーの専門領域に、走行中にどのように対応したのかを質問したところ、彼はこう答えた。「まったく問題ありませんでした。私は以前チーフエンジニアで、どれも自分でセッティングしましたから」

第2日目:ポルシェ 911タルガ 40周年

今回のグッドウッドは、ありがたいことにポルシェの招待で参加。ポルシェはウェスト・ディーン・カレッジという専門学校の敷地を借りて、芝の上にテント村をつくり、食事を用意して私たちジャーナリストを歓迎してくれた。

このテント村は911タルガの誕生40周年を記念して、「キャンプ・タルガ」と名づけられていた。そして時代の異なる6台のタルガを私たちジャーナリストに試乗させてくれた。

私はしばらくの間、1980年代後半の1台(ややノイジーな3.2リッターの空冷エンジン搭載)を運転して楽しんだ。多くのポルシェオーナーが空冷の911を好む理由を、この機会に再認識することができた。

第3日目:カイエン オフロードも優秀

この日もグッドウッドで取材。数人の大物にインタビューすることになっており、効率よく移動するために、ポルシェはグッドウッドに隣接するウェスト・ディーン・カレッジの牧草地を横切って、私たち招待客をV6ハイブリッドのカイエンで送迎してくれた。

これまで私はカイエンを本格的なオフローダーと考えたことはあまりなかった。しかし、その最低地上高、トラクション、柔軟なエアサスペンションは、その能力を明らかにした。わだちの多い、白亜の急勾配の下り坂をいとも簡単に走破し、乗り心地も極めて優秀だった。今後はカイエンをオフローダーとしても、注目してみたい。

毎年恒例のグッドウッドの大型モニュメント。今年はゴードン・マレーのカーデザインと開発60周年をテーマに建てられた。

ところで奇妙なことに、今年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、中央の大型モニュメントをじっくりと眺めたのは、この日が最初だった。今年はゴードン・マレーのカーデザイン60周年を祝うモニュメント。公式には、例年と同じように彫刻家のジェリー・ジューダが手掛けた作品である。

だが、マレーの人魚のモチーフがデザインされており、マレー本人からの強力なリクエストによるものだろうと言われている。さらにリッチモンド公爵という、もう一人の強力な個性を持つ人物の意向も加わり、今年のモニュメントは活発な意見交換のもと、制作されたにちがいない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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