試乗 シトロエンC3エアクロス 新小型SUVの走り/内装/サイズを評価

公開 : 2019.09.10 06:20  更新 : 2022.02.24 19:48

シトロエンの小型SUV「C3エアクロスSUV」を試乗。こう見えて、心地よいハンドリング、実用的なパッケージ、期待以上の悪路性能を持ち合わせています。

どんなクルマ?

駆動方式は2WD(FF)、最低地上高は160mm。オンロードスペシャリティ志向ともラフ&オフロード志向とも言えず、シトロエンC3エアクロスはSUVとしてはけっこう解説し難いタイプである。

ならば中途半端で存在意義を疑われるかといえば、そうではない。見ても乗っても狙い所は容易に理解できる。

シトロエンC3エアクロスSUVシャイン・パッケージ
シトロエンC3エアクロスSUVシャイン・パッケージ

C3エアクロスはC3をベースに開発されたクロスオーバーSUVであり、親しみやすいコンパクトサイズと輸入SUVでは手頃な価格が見所。

全幅はちょっと広めの1765mmだが、全長は4160mmであり、SUVとしては見下ろし死角が少ないウインドウグラフィックや側方張り出し感の少ないパッケージングもあって、狭い場所での取り回しも良好。SUV初心者でも戸惑うこともない。

内装/シート

座面地上高もSUVでは低め。サイドシル全覆式のドアではないが、足着き性がいいので乗降性も悪くない。タウンユースにも気軽に使えるタイプである。

キャビンスペースは男性の4名乗車のジャストサイズ。

シトロエンC3エアクロスSUVシャイン・パッケージの前席とパノラミックサンルーフ
シトロエンC3エアクロスSUVシャイン・パッケージの前席とパノラミックサンルーフ

余裕があるとも言えないが、後席の座面高を高くしたシート設定やアップライトな着座姿勢が取りやすいシート形状もあり、寸法的な余裕よりも収まりがいい。

後席 150mmスライド

後席スライド機構も備えるので使用状況に応じた客室/荷室のアレンジも融通を付けやすい。

実用的な2BOX車の使い勝手をベースに、悪路踏破性や高い視点の開放感や見晴らしを上乗せ。適応用途が大幅に拡大するわけではないが、一般的乗用車と違った楽しみや使い方のプラスαがC3エアクロスの個性でもあり魅力となっている。

シトロエンC3エアクロスSUVシャイン・パッケージの後席
シトロエンC3エアクロスSUVシャイン・パッケージの後席

どんな感じ?

性能と言うにはあまりに些末(さまつ)だが、例えば操舵感覚が自然で馴染みやすい。操舵力は総じて軽めだが、舵角とSAT(ステアリング復元力)の関係がいい。

中立付近はそれほど締まった感じがないのだが、舵角増に対してリニアかつ穏やかにSATが高まる。掌に収まるような手応えで、神経質にならずに適切な舵角に収まる感じ。

シトロエンC3エアクロスSUVシャイン・パッケージ
シトロエンC3エアクロスSUVシャイン・パッケージ

スポーツモデルのがっしりとしたステアフィールを望むドライバーには頼りなく感じられるかもしれないが、高速も山岳路も肩の力が抜けた操舵感覚が心地よい。何よりもC3エアクロスのイメージに似合いだ。

装着タイヤ仕様により多少印象が異なるのだが、素直さが操縦性の特徴。過敏な反応を抑えながらも応答遅れが少なく、見えるコーナーのRに合わせて舵を送っていけば自然にラインに載っていく。

ロールの揺れ返し等々の不要な挙動も少なく、乗りこなすための云々などと考える必要もない。いい感じに「ふつう」なのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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