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AUTOCARアワード2019 ゲームチェンジャー部門 数々のモデルが時代を変革

2019.06.01

100字サマリー

今年のゲームチェンジャーには、唯一無二の素晴らしいスポーツカーや、先進の燃料電池車、ハイパフォーマンスサルーンに、EVの民主化をさらに推し進めるモデルなどが選ばれていますが、日本が誇る2台もそのなかに含まれています。これからも自動車の未来に期待です。

もくじ

フェラーリ488 ピスタ
ヒュンダイ・ネクソ
メルセデス-AMG CLS 53
スズキ・ジムニー
トヨタ・カローラ
キア e-Niro

フェラーリ488 ピスタ


ワールドクラスのフェラーリ製ミッドエンジンスーパーカーほど革新的な存在もないが、それでも、488ピスタは別格の存在と言える。

488ピスタが積むV8は、実質的にサーキット専用モデルである488チャレンジ譲りのエンジンであり、わずか3.9ℓから720psを発揮することを考えれば、例え酷いターボラグがあったとしても、致し方ないと思うだろう。

だが、ライバルたちが積む高圧縮ターボのような、過給の遅れを488ピスタで感じることはなく、例えターボラグがあったとしても、ほとんど感知できないほどのものでしかない。そして、ターボ過給が始まると、このクルマはさらなる驚きをもたらす。

このクルマのシャシーは、特別なフェラーリに期待するとおりのドライバーとの繋がりを感じさせる。その乗り心地は、グランドツアラーを名乗っても不思議ではないほど、しなやかなものであり、ステアリングはクイックだが、決して過敏ではなく、ボディの動きも抑え込まれてはいるものの、決して不快なほど硬いわけではない。

ギアシフトは滑らかでクイックな操作が可能だが、ダウンシフトは十分に刺激的で、そのドライビングポジションは、タイトでありながら、ここで丸一日を過ごせるほどの快適さも備えている。

つまり、このクルマには通常考えられない、ふたつの相反するキャラクターが備わっているのだ。

そして、忘れてならないのは、やはりそのハンドリングだろう。フェラーリでは通常、スペシャルなモデルには、ハイグリップタイヤを採用しており、それはこのピスタも例外ではない。だが、例えそんなハイグリップタイヤを履いていなかったとしても、このクルマ独特のバランスと、コーナリング性能を味わうことはできる。

ある特定のドライビングのために作り出されたモデルというものが存在する。ピスタにとっては、サーキットのすべてのコーナーが真っ白なキャンバスであり、ドライバーはそこに思い通りの絵を描けばいいのだ。

コーナーをゆったりと流すような走りがお好みなら、そうした走りを楽しむことが出来る一方、極限のグリップで、シャシーを徹底的に追い込むようなドライビングを試しても、このクルマの電子制御システムは、ABSやトラクションコントロール、スタビリティーコントロール、ステアリング、電子制御式リミテッドスリップディフェレンシャルを見事に制御して、決してドライバーを飽きさせることはない。

さらに、すべての電子制御の介入をカットすれば、アンダーステアでも、ニュートラルステアでも、カウンターステアを当てるような走りでも、ドライバーのお好み次第であり、ピスタはどんな走りも許容してくれる。

458スペチアーレは、特別なミッドエンジンフェラーリに新たな基準を創り出した。だが、トップエンドでの迫力は失ったものの、488ピスタのターボエンジンは、驚異的なレスポンスで、どんな回転域からでも十分なトルクを発生させる。

このトルク特性のお陰で、488ピスタを、まるでトヨタGT86(日本名:86)のように簡単に、自由自在に操ることが出来るが、さらにこのクルマのドライビングは刺激にも溢れている。

フェラーリが素晴らしくても当然だと思うかも知れないが、ピスタのようなモデルは他に存在しないからこそ、ゲームチェンジャーと呼ぶに相応しい。

 
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