たおやかな雰囲気へ合う「ディーゼル」 メルセデス・ベンツCLE 220D クーペへ試乗 筆者の好み

公開 : 2024.01.19 19:05

気付かないほど滑らかな電動アシスト

走行中の車内は驚くほど静かで、アイドリング時や低速域では、エンジンの燃焼音がまったく聞こえない場面も。バッテリーEVの方が静寂性や滑らかさでは勝るとはいえ、平穏に数100kmを延々と運転したい場面では、望ましいパワートレインだといえる。

2.0Lガソリンターボを積むCLE 200と、速さとしては同等。現実的な利用環境でも、引けを取らないくらい柔軟なはず。マイルド・ハイブリッドのアシストもシームレスで、仕様を知らなければ気付かないかもしれない。見事に統合されている。

メルセデス・ベンツCLE クーペ(英国仕様)
メルセデス・ベンツCLE クーペ(英国仕様)

9速ATは、マニュアル・モードも選べるが、あえて手を煩わせる必要はないだろう。状況判断も、変速マナーも素晴らしい。スポーツ・モードを選ぶことはできるものの、エンジンを少し引っ張りすぎる印象。頻繁に使いたいとは感じないかもしれない。

全体的な運転体験は好印象。市街地では、ややゴツゴツ感が目立っていたため、20インチ・アルミホイールはサイズダウンしても良いかもしれない。それ以外、姿勢制御と乗り心地のバランスは優れる。

ステアリングホイールは軽め。セルフセンタリング性は控えめだが、重み付けは一貫しており、反応は正確。4シリーズ・クーペの方が一体感は高いかもしれないが、洗練され落ち着いた2ドアクーペの性格を考えると、強い不満は抱かないはず。

優れた快適性 洗練された動的能力

ボディサイズは全長が4850mmあり、従来のEクラス・クーペより15mm増えている。BMW 4シリーズ・クーペより約80mmも長い。全幅は1860mmで、新しいCクラスより40mm広い。確かに成長したものの、駐車に困るほど大きいわけではない。

燃費は、カタログ値で20.9km/L。今回の試乗でも、これに近い数字を達成できた。

メルセデス・ベンツCLE クーペ(英国仕様)
メルセデス・ベンツCLE クーペ(英国仕様)

新しいCLE 200Dは、優秀な快適性と、洗練された動的能力が魅力。パワートレインは扱いやすく、インテリアは心地良く上品だ。

メルセデス・ベンツのクーペの存在感は、近年すっかり低くなったように思う。それでも筆者は、CLEが好きだ。読者の多くにも、うなずいてもらえると思う。

メルセデス・ベンツCLE 200D クーペ AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)のスペック

英国価格:5万6810ポンド(約1051万円)
全長:4850mm
全幅:1860mm
全高:1428mm
最高速度:238km/h
0-100km/h加速:7.5秒
燃費:20.9km/L
CO2排出量:125g/km
車両重量:1870kg
パワートレイン:直列4気筒1993cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:199ps/3800rpm
最大トルク:44.8kg-m/1800-2800rpm
ギアボックス:9速オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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