人工知能と3Dプリンターで作るスーパーカー ジンガー21C 産業へ衝撃を与える新技術

公開 : 2024.02.08 19:05

アストンやメルセデスと協力関係を構築

見事な先進技術企業へ成長したダイバージェント社だが、設立当初から数年間は収益が出なかったという。3Dプリント製造の技術を確立して以降も、クライアントの獲得には難航したらしい。しかし、トンネルは抜けたようだ。未来は明るい。

2026年までに、収益は数億ポンド(数100億円)に増えると予想されている。数10万点の部品が、新しいプロセスで成形予定だ。現在はロサンゼルス郊外に拠点を置くが、2030年までに世界30か所へ関連施設を展開したいと考えている。

ジンガー21C(北米仕様)
ジンガー21C(北米仕様)

ルーカスの父、ケビン・ツィンガー氏が続ける。「安全性や性能を向上させながら、質量を20%や40%削れると想像してみてください。環境負荷の軽減にも繋がります」

ダイバージェント社は現在、主要な自動車メーカー7社と協力関係にある。名前を明かせるブランドは、アストン マーティンメルセデス・ベンツ。さらなるネットワーク拡大を目指し、スーパーカーの21Cがショーケース的役割を担う。

21Cは、テキサス州のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ・サーキットの市販車記録を、6秒も短縮。ラグナ・セカを、マクラーレン・セナより2秒も速く周回した。

「サーキットで、世界最速の量産車になると宣言しています」。とルーカスは主張する。ニュルブルクリンクへの挑戦も、予定しているようだ。

「5年後か10年後、21Cは弊社のシステムで設計・製造された、最初の量産車だったと振り返ることになるでしょう。とてもパワフルなクルマです。ほかの多くのモデルも、同様に作られることになりますよ」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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