17年目でもチャーミング! フィアット500 C ハイブリッドへ試乗 2024年も納得の好燃費

公開 : 2024.03.09 19:05

滑らかで燃費の良い1.0LマイルドHV

内装素材は、10年前には高級感があったものの、2024年ではそうともいえない。だが、プラスティック製のダッシュボードや小物入れのリッドなど、安っぽいと感じるほどではないだろう。

ちなみにホットハッチアバルト500は、バケットシートにアルミ製ペダル、専用ステアリングホイール、ターボブースト計など、スポーティに仕立てられ別物。エンジンも1.4Lターボで異なり、最高出力は145psから180psまで用意されている。

フィアット500 C ハイブリッド(英国仕様)
フィアット500 C ハイブリッド(英国仕様)

マイルド・ハイブリッドの500の動力性能は、都市部の利用が中心になるコンパクトカーとしては充分。混雑した目抜き通りを活発にすり抜けられ、長距離ドライブも苦にはならない。

3気筒ターボエンジンは滑らかに回り、燃費も良い。特に工夫することなく、18.0km/L以上の数字を得られる。条件次第で、20.0km/Lを超える場面もあった。車重が重くなるコンバーチブルの500 Cだが、カタログ値の燃費はハッチバックと変わりない。

マイルド・ハイブリッドは、3気筒エンジンが2000-3000rpmの間でアシストする模様。体感は得にくいものの、扱いやすさは増しているようだ。最高出力に貢献している印象はなく、急いでいる時は、僅かなパワー不足を否定できない。

流れの速い幹線道路で、ショートギアな6速MT版を運転すると、両足と左手を動かし続けることに。勾配のある高速道路では、シフトダウンの出番も多い。洗練性もほどほどで、高回転域ではボディ全体へ僅かに振動が伝わることもあった。

古びないオリジナルへ通じる魅力と楽しさ

フィアットは発売以来、500の快適性と操縦性を改善するべく、多くのアップデートを施してきた。その甲斐あって、現在の基準でも、このクラスでは運転が楽しい。短いホイールベースを活かしタイトに旋回し、姿勢制御には適度な締まりがある。

ただし乗り心地は、優秀な最新モデルのように、落ち着いているわけではない。現代のコンパクトカーなら平然と均すであろう隆起部分でも、上下の揺れは大きい。荒れた路面では、シャシーだけでなく、ステアリングコラムも振動することがあった。

フィアット500 C ハイブリッド(英国仕様)
フィアット500 C ハイブリッド(英国仕様)

電動パワーステアリングは、ふんだんに情報が伝わってくるわけではないが、人工的な感触は抑えられ、直進性には優れる。シティ・モードではダイレクト感が小さくなる反面、ステアリングホイールを軽く回せるようになる。

登場から17年が経過した内燃エンジン版の500だが、ドライビング体験や車内空間などは、その年月を隠してはいない。しかし、マイルド・ハイブリッドのエネルギー効率の良さは、2024年でも充分な説得力を持つだろう。

オリジナルへ通じる魅力や楽しさは、まったく古びていない。ソフトトップの構造上、500 Cでは多少のトレードオフがあるとはいえ、クラシカルなデザインは優れた実用性も叶えている。

利益率の低いコンパクトカーは、数を減らしつつある。個性的で好印象な500を積極的に推したいと思うのは、筆者だけではないだろう。

◯:タイムレスで個性的なデザイン 18.0km/L以上を狙える好燃費 ソフトトップのカブリオレも選べる
△:巧みなパッケージングとはいえ、若干狭い車内空間 古びて見える内装や装備 控えめな動力性能 落ち着きの足りない乗り心地

フィアット500 C ハイブリッド(英国仕様)のスペック

英国価格:1万9990ポンド(約378万円/試乗車)
全長:3571mm
全幅:1627mm
全高:1488mm
最高速度:167km/h
0-100km/h加速:13.8秒
燃費:20.9km/L
CO2排出量:108g/km
車両重量:980kg
パワートレイン:直列3気筒999cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:68ps/6000rpm
最大トルク:9.3kg-m/3500rpm
ギアボックス:6速マニュアル(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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