モニターへ「全集約」どう思う? ボルボEX30 ツインモーターへ試乗 428psを活かせないシャシー

公開 : 2024.03.13 19:05

ボルボの新しい電動・小型クロスオーバー、EX30 1枚のタッチモニターへ多くの機能を集約 428psを効果的に活用できないシャシー 英国編集部が期待込みの辛口評価

1枚のタッチモニターへ多くの機能を集約

ボルボのまったく新しいコンパクト電動クロスオーバー、EX30が英国にもやって来た。そのインテリアには、実際に押せるハードスイッチが殆ど存在せず、メーター用モニターもない。1枚のタッチモニターへ、多くの機能が集約されている。過多なほどに。

縦長のタッチモニターは、確かに大きい。とはいえ、車載機能を操作するスイッチやノブ、メーターパネルなどを有意義なカタチで省けると、ボルボのデザイナーは本気で考えたのだろうか。本当にシンプルで軽量で、サスティナブルだといえるのだろうか。

ボルボEX30 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)
ボルボEX30 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)

筆者には、EX30のインテリアへ疑問を抱かずにいられない。未来を見据えたクロスオーバーを作るため、他にできることがあったのではないかと思う。

部品点数を減らせば、製造時の複雑さは減り、省エネや時短に繋がる。環境負荷を多少は抑えられるだろう。同時に、ボルボは製造コストも抑えることができる。

しかし、同社が伝統的に強みとしてきた、使いやすさや親しみやすさなどへ、悪影響がないとはいえない。優れたデザインとは、見た目だけでなく、全体的に優れたソリューションを導くものではないかと思う。

AUTOCARでは、EX30のライバルを数台揃えて、比較試乗をしようと計画している。バッテリーEVとしての走りだけでなく、インテリアデザインについても、他のモデルとの比較を通じて考察する予定だ。

プレミアムな雰囲気を醸し出す内装

誤解しないで欲しいが、基本的に、新しいEX30は素晴らしいクロスオーバーだと思う。デジタル的な使い勝手に関して、冒頭の数センテンスを割いてしまうのは、残念に感じるほど。同社のデザインの次章として、見た目も望ましい。

EX30は、スマート#1とプラットフォームを共有している。その広々とした車内と比べると、リアシート側は若干狭く感じられる。とはいえ、フロントシート側は身長の高い大人でも不満は出ないだろう。

ボルボEX30 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)
ボルボEX30 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)

エントリーグレードの内装でも、ドアパネルなどに特徴的な素材が用いられ、落ち着いた造形と相まって、プレミアムな雰囲気を醸し出している。僅かに残された、ハードスイッチのタッチはソリッド。製造品質の高さも、指先を通じて感じ取れる。

ダッシュボードの中央には、先述の大きなタッチモニターが据えられている。ボルボの担当者は、無線通信によるソフトウエアのアップデートに対応し、今も改良は継続中だと説明していた。

現在のシステムは、カーナビのマップ画面から音楽のプレイリストへの切り替えや、スピードメーターとトリップコンピューターの表示などに、数回のタップが必要。日常的な運転で想定される操作でも、前方への集中が疎かになる可能性がある。

ある程度覚えてしまえば、確かに短時間で実行できることは事実だ。オートワイパーの間欠時間の変更などは、慣れれば5秒もかからずにできるだろう。それでも殆どの場合、メニューを2・3回掘り下げなければならない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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