更新!「上級ワンボックス」の定番 メルセデス・ベンツVクラス V 300dへ試乗 目移りしない魅力

公開 : 2024.03.17 19:05

走行時の上質さではT7マルチバンが勝る

パワートレインは、9速ATが低速域で若干ギクシャクする場面はあるものの、ディーゼルエンジンはトルクフルでVクラスとの相性が良い。今回は上位グレードのV 300d ロングへ試乗したが、複数の大人が乗車した状態でも、高速道路を安楽に運転できた。

高速域でも、風切り音は驚くほど小さい。反面、高負荷時にザラついたノイズが車内へ響く。せっかくの豪華な雰囲気へ、水を指すように。マイルド・ハイブリッドのガソリンターボの方が、上質さでは勝るはず。

メルセデス・ベンツVクラス V 300d ロング(欧州仕様)
メルセデス・ベンツVクラス V 300d ロング(欧州仕様)

エアサスペンションの乗り心地は、魔法の絨毯とはいえないまでも、高級車と呼ぶのにふさわしい滑らかさ。フランス・カンヌ周辺の平滑なアスファルトを、流暢にこなしていた。

ただし、低速域でツギハギの多い区間を走ると、ホイールの動きが伝わってくる。乗用車用プラットフォームをベースにした、フォルクスワーゲンT7マルチバンの方が、走行時のスムーズさでは優れるようだ。

燃費は、V 300dのカタログ値で13.5km/L。実際のところ、市街地でこの数字へ迫ることは難しい。

英国での価格は、7シーターのV 220d ロングで7万4585ポンド(約1410万円)から。ロングのV 300dでは、7万9865ポンド(約1509万円)へ上昇する。どちらも同じ2.0Lターボディーゼルを積むが、予算が許すならハイパワーな方を選びたいところ。

訴求力を高めたアップデート 今後も定番の1択に

標準装備は充実しているものの、1万3000ポンド(約246万円)の上乗せで、プレミアムからエクスクルーシブへアップグレード可能。ブルメスター社製サウンドシステムにパノラミック・ガラスルーフのほか、バックカメラ、一層上質な内装などを得られる。

今回のフェイスリフトで、Vクラスは重要な部分の更新に成功している。特に新しいインテリアは、最大の強みといえるだろう。プラットフォームは商用バンと共有するものの、乗用車に近い運転体験も、訴求力を高めている。

メルセデス・ベンツVクラス V 300d ロング(欧州仕様)
メルセデス・ベンツVクラス V 300d ロング(欧州仕様)

価格を考えれば、一般的な大家族の移動手段にはならないはず。だが、複数の役員などを同時に移動させる場面において、Vクラスは今後も定番の1択となるに違いない。

◯:先端から後端まで高級感の高いインテリア バン・ベースでありながら優れた操縦性 アップデートされたインフォテインメント・システム
△:高負荷時のディーゼルエンジンのノイズ 庶民には縁遠い価格

メルセデス・ベンツVクラス V 300d ロング(欧州仕様)のスペック

英国価格:7万9865ポンド(約1509万円)
全長:5140mm
全幅:1928mm
全高:1880mm
最高速度:241km/h
0-100km/h加速:7.9秒
燃費:13.5km/L
CO2排出量:195g/km
車両重量:2348kg
パワートレイン:直列4気筒1950ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:236ps/3500-4000rpm
最大トルク:50.9kg-m/1750-3250rpm
ギアボックス:9速オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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