「飛躍」な乗り心地とインテリア 新型フォルクスワーゲン・パサートへ試乗 9代目でエンジン最後?

公開 : 2024.03.15 19:05

当面は150psの1.5LマイルドHV一択

スポーティなRラインを選ぶと、新設計のエルゴアクティブ・シートが2脚並ぶ。サポート性に優れ、座り心地は良好。オプションで、ベンチレーションやマッサージ機能が追加される、エルゴアクティブ・プラスへグレードアップできる。

他にも、Rラインにはオートハイビーム付きLEDヘッドライトにバックカメラ、ステンレス製ペダルカバー、3ゾーンエアコン、アダプティブ・クルーズコントロール、ダイナミック・シャシーコントロールなどが備わる。

フォルクスワーゲン・パサート 1.5 eTSI Rライン(欧州仕様)
フォルクスワーゲンパサート 1.5 eTSI Rライン(欧州仕様)

英国へ導入されるパワートレインは、今のところ1択。1.5L 4気筒ターボガソリンの、マイルド・ハイブリッドのみ。トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマティックが組まれる。

4気筒ターボは、150psと25.3kg-mを発揮し、電圧48Vで稼働するスターター・ジェネレーター(ISG)が17psをアシスト。パワフルとはいえないものの、充分な加速力を生み出す。車重は1572kgあるが、0-100km/h加速を9.2秒でこなす。

エンジンは滑らかに回転し、ISGの力を借りて、普段使いには不足ない活発さと洗練性を叶えている。燃費は18.5km/Lと、印象的な数字が主張される。

2024年後半には、2種類のプラグイン・ハイブリッドが登場予定。ミラーサイクルの1.5L 4気筒に駆動用モーター、6速デュアルクラッチATが組み合わされ、203psか271psの最高出力が用意されるという。

駆動用バッテリーの容量は19.7kWhと、先代の約2倍。電気の力だけで100km以上走れるらしい。充電能力は、最大50kWになるそうだ。

大進化の乗り心地 優秀なファミリーワゴン

さて、長年のパサートの成功は、安定し信頼のおける走りが支えてきた。それは、最新の9代目でも受け継がれている。

ステアリングホイールは適度に軽く、反応は均一で正確。重み付けも終始一貫している。ボディサイズは明確に大きくなったが、確かに車線中央を維持しやすい。

フォルクスワーゲン・パサート 1.5 eTSI Rライン(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・パサート 1.5 eTSI Rライン(欧州仕様)

ロックトゥロックは2.1回転で、コーナーでは鋭く旋回し、グリップ力も高い。気張るとフロントの重さを実感するものの、シャシーバランスは磨かれている。手のひらへの情報量も、限界が近いことを感じるのには充分といえる。

乗り心地は、8代目から大進化。走行時の上質さと、減衰特性の向上を実感できる。リア・サスペンション回りの改良とツインバルブ・ダンパーが相乗し、衝撃の吸収性は大幅に改善した。細かな凹凸にも、うねるような起伏にも、見事に対応してみせる。

ロードノイズは、間違いなく静かになった。空気抵抗を示すCd値が0.31から0.25へ削られたことで、高速域での風切り音も明らかに小さい。

かくして、8代目から確実に優れたクルマへ進化した、9代目パサート。特に普段使いでの好印象が光る。インテリアは質感を高め、滑らかで運転しやすく、乗り心地は上質。クラス最高の車内空間も備えた、優秀なファミリーワゴンだといっていい。

耳にした情報では、フォルクスワーゲンは「R」も計画しているとか。内燃エンジン最後となるであろうパサートへ、理想的な花道が用意されるようだ。

フォルクスワーゲン・パサート 1.5 eTSI Rライン(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万2830ポンド(約809万円)
全長:4917mm
全幅:1849mm
全高:1497mm
最高速度:222km/h
0-100km/h加速:9.2秒
燃費:18.5km/L
CO2排出量:122g/km
車両重量:1572kg
パワートレイン:直列4気筒1498cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:150ps/5750-6500rpm
最大トルク:25.3kg-m/1500-3500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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