これぞ真の「クロスオーバー」! 複数の強みが高次元で共存 ポールスター4 試作車へ試乗

公開 : 2024.04.07 19:05

ツインモーターは543psで579km

大きなガラスサンルーフが備わり、車内は開放的。身長が180cmある大人でも、天井との間には100mm程度の余裕は残る。座面の高さは、一般的なSUVと比べれば100mm程度低く、雰囲気はスポーティ。足もとの空間も広々としている。

内装は、現代的で風合いの良いテキスタイルで覆われている。少数が点在するハードボタンも、ソリッドで好感触。持続可能性を強く打ち出すポールスターではあるが、シートにはレザーも指定できる。

ポールスター4 ツインモーター(プロトタイプ/欧州仕様)
ポールスター4 ツインモーター(プロトタイプ/欧州仕様)

パワートレインは電圧400Vで稼働し、シングルモーターの後輪駆動か、ツインモーターの四輪駆動という2種類。駆動用バッテリーの容量は94kWhで、航続距離は前者が610km、後者が579kmとなる。急速充電能力は、最大200kWまで対応する。

ツインモーターの最高出力は、543ps。シングルモーターでも不満なく速いが、ポルシェタイカン 4S以上の鋭さは、快感でもある。実際に公道で展開できる場面は限られるとしても、余力は大きい方がうれしいものだ。

車重は2.2tを超えるが、動的能力は唸らされるほど優れる。極めて鋭く正確に回頭し、シングルモーター標準のコイルスプリング・サスペンションでも、ボディは感動的に水平が保たれる。

ドライブモードによって、ステアリングの反応も変化する。穏やかで滑らかな感触から、適度な重み付けで情報量豊かな感触まで、気分次第で選ぶことが可能。それでも、基本的にはクイックで直感的。カーブ出口での手応えが、スポーティさを高める。

高次元の動的能力 快適性や洗練性は犠牲にせず

筆者は、シングルモーターとツインモーターの両方を試したが、前者の方が好みだった。後者に備わるアダプティブダンパーは、快適性を増してくれるものの、140kg軽いことで身のこなしに軽快感が伴う。

標準設定のタイヤも肉厚になり、コイルスプリングでも乗り心地は快適。フロントノーズの反応が小気味よく、テールスライドへ持ち込むのは遥かに容易だ。

ポールスター4 ツインモーター(プロトタイプ/欧州仕様)
ポールスター4 ツインモーター(プロトタイプ/欧州仕様)

動力性能で勝るツインモーターでは、トルクベクタリング機能が相乗し、ひたひたと落ち着きを失うことなく素早くカーブを処理する。こちらも反応は直感的で、低い重心位置の恩恵がしっかり活かされている。

ボディの中央を軸に旋回する感覚があり、足取りは常時安定。優れない路面状態でも、高い安心感を保って走り続けられるだろう。

さらに特筆すべきが、ここまで高次元の動的能力を備えていながら、現実世界での快適性や洗練性が犠牲になっていないこと。高速道路では淡々と安楽に巡航し、石畳の市街地でも音振に悩まされることはなかった。

加えて、手強そうなオフロードコースでも、4は納得の能力を披露してみせた。最低地上高が低く、ホイールベースは長いため、絶対的な走破性が高いわけではないけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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