EVをエンジン車と区別する時代は終了 欧州COTY2025 ノミネート7台の魅力を再確認(2)

公開 : 2025.01.11 09:46

2024年の最優秀車を選ぶ欧州COTY2025 選考へ残った魅力的な7台 復活のルノー5が本命? 韓国勢が2台の快挙 EVとエンジン車を区別する時代の終焉を実感 英編集部が各魅力を再確認

期待するもの以上が備わる3代目ダスター

MS:進歩を感じさせる1台が、ダチア・ダスター。ルノーキアのノミネート車両と比べると、よりシンプルでダイレクトなステップですが。多用途で機能的。お手頃で、ユーロNCAPのスコアも高く、このクラスの要点をしっかり抑えています。

こんなクルマが欧州で長く提供されている事実も、称賛に値すると思いませんか。そんなダスターを審査員が選んだことも、うれしい。

ダチア・ダスター(英国仕様)
ダチア・ダスター(英国仕様)

MT:モデルチェンジし、先代より殆どの面で遥かに優れていることに、自分も驚かされました。心理的にも合理的にも、訴求力が高い。

ルノーは、5という1モデルで劇的な進歩を体現したといえます。一方のダチアは、長い時間をかけてすべてのモデルラインナップで進歩を続けています。2025年には、ダスターより大きいビッグスターが登場予定ですが、今から楽しみです。

MS:現代的なモデルとして、完成度が高いですよね。(初代が登場した)15年前は、多くの自動車ジャーナリストが、安くて便利なクルマというアイディアへ夢中になりました。しかし、実際に買うかと聞かれたら、即答は難しかった。

でも新しいダスターには、心から惹かれます。安っぽさは微塵もない。運転しやすくて、機能的でデザインも魅力的。この価格帯へ期待するもの以上が、備わっていますよ。

カジュアルでシンプルな小型車:C3

MT:新しいシトロエンC3も、期待以上でした。スタイリングは少し新鮮味が薄いですし、内装の素材も部分的には高くはない。でも、自分はとても気に入りました。

MS:近年のシトロエンは好調なようですね。わたしの記憶の限り、最も安定した経営状態にあるかもしれません。個性と実用性を組み合わせ、恐れず個性的なアプローチを
選ぶ術を習得したように思います。

レッドのシトロエンC3と、グレーのダチア・ダスター
レッドのシトロエンC3と、グレーのダチア・ダスター

C3は、まさにそれ。カジュアルでシンプルな小型車です。運転しやすく、画期的ではないとしても、陽気なキャラクターで欲しいと思わせる。電気モーター版と、ガソリンエンジン版の価格差が気になりますが。

MT:運転体験自体に、新しさは薄いかもしれません。でもインテリアはモダン。ステランティス・グループのドライブトレインを利用し、属する他ブランドと有意義に差別化されたクルマに仕上がっていますね。これで、もう少し上質さが加われば・・。

従来以上の高級感と魅力的なスタイリング

MS:クプラ・テラマールがベースとする、フォルクスワーゲン・グループのMQBプラットフォームはお馴染み。スペイン・ブランドの手で味付けされ、これまで以上の魅力を得ています。既存ユーザーの気持ちも放さず、好調に売れるでしょう。

MT:目隠しをして運転すれば、同じプラットフォームを採用した、どのフォルクスワーゲン・グループのモデルなのかわかりにくいといえます。しかし見た目はまったく違う。このデザインの方向性は嫌いじゃないです。

クプラ・テラマール(欧州仕様)
クプラ・テラマール(欧州仕様)

テラマールは、今のクプラのベストではないかもしれません。でも、アウディQ3をベースに、全力が投じられています。自分なら、Q3よりテラマールを選ぶかも。

MS:従来以上の高級感と魅力的なスタイリングの効果で、充足度は高いと思います。でもクプラ・ブランドは、もっと挑戦していく必要があるでしょう。シャープなボディを与え、ブロンズ・カラーのトリムを施すだけでは、成長を維持することは難しい。

ひと回り小さい、クプラ・フォーメンターはもっと大胆な印象を与えました。そのようなインパクトが、今後の近い時期に必要でしょうね。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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