フェラーリ・ローマへ試乗 金管楽器のようにシンフォニック 待ち望まれたグランドツアラー

公開 : 2025.03.19 19:05

金管楽器のようにシンフォニックな音響

ローマのエンジンは、ポルトフィーノと同じ3.9L V8ツインターボ。新しいカムとターボ制御で、620psの最高出力を引き出している。微粒子フィルターが排気系へ備わるが、新設計のバイパスシステムを採用し、サウンドを調律している。

トランスミッションは、SF90 ストラダーレと共有の8速デュアルクラッチ・オートマティック。シャシー後方の低い位置にマウントされる。トルクベクタリング機能付きのeデフは標準装備。最新バージョンの、サイドスリップ・コントロール6.0も実装する。

フェラーリ・ローマ・クーペ(英国仕様)
フェラーリ・ローマ・クーペ(英国仕様)

公道へ出てみれば、ポルトフィーノより遥かに第一印象は素晴らしい。パワーオン時もコーナリング時も、多くのライバルより意欲的。フラットプレーン・クランクが組まれたV8エンジンの音響は、金管楽器のようにシンフォニック。思わず聞き惚れる。

絶対的な速さは、ハイエンドなスーパーカー級ではない。それでも、中域でのパワー感に魅了される。トルクフルで、高域での柔軟性も素晴らしい。0-100km/h加速は3.4秒で処理する。

ステアリングは、現代のフェラーリらしくダイレクト。少し角度を増すだけで、即座にフロントノーズが反応する。これは同社のモデル特有といえ、少し慣れを必要とするかもしれないが。

カーブでのボディロールは、ポルトフィーノより明らかに抑えられている。シャシーには自然な機敏さがあり、クイックなステアリングとの調和は見事。フロントタイヤの向きを直感的に判断でき、確かな自信のまま高い速度域を保てる。

スムーズな衝撃吸収性とシャープな操縦性

乗り心地はマイルドながら、姿勢制御の方が優先はされている。同社の技術者によると、フロントサスペンションのコイルスプリングは、ポルトフィーノと同じアイテムだとか。トレッドの幅が広いから、スプリングレートとしては落ちることになる。

車重は約100kg軽く、重心位置は10%低く、スムーズな衝撃吸収性とシャープな操縦性を両立。技術の磨き込みで、大きな進化を得ている。カーブが続くワインディングへ飛び込めば、その違いは瞭然だ。

フェラーリ・ローマ・クーペ(英国仕様)
フェラーリ・ローマ・クーペ(英国仕様)

手元のマネッティーノ・ダイヤルには、5つのドライブモードが用意されている。これにより、後輪駆動ならではといえる操縦性のバランスを、お好みで調整できる。電子的なセーフティ・ネットを緩めながら。

その懐は非常に深く、ミドシップのフェラーリ458や488のマナーとも重なるほど。シャシー設定のフレキシブルさには、心から驚かされる。

ローマ・クーペの英国価格は、約17万ポンド(約3315万円)から。ラインナップとしてはエントリー側にあり、例えばアストン マーティンヴァンテージは約16万5000ポンド(約3218万円)からで、かなり良い対立関係をなしている。

燃費はカタログ値で8.9km/Lだが、巡航時はそれを上回ることも可能。維持費は決して安くはないとはいえ、包括的な7年間の保証プランが提供されているから、これを組めば安心して楽しめる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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