映像作品でもおなじみ 米国の象徴的なパトカー 31選(後編) 現代の警察車両は?

公開 : 2025.03.30 19:25

フォード・ポリス・インターセプター(2010年)

フォードは、伝統あるクラウンビクトリアの製造終了が近づいた2010年に、現在のポリス・インターセプターのコンセプトモデルを初めて公開した。先代モデルとは異なり、トーラスをベースとしてV6エンジンを搭載し、ターボ付きとノンターボの2種類があり、駆動方式はFFとAWDが用意されている。

警察用に特別に設計された車内には、防刃加工のシートバック、ユーティリティベルトを装着できるシート、コラムシフトが採用され、センターコンソールにスクリーンやノートパソコンなどの最新のデジタル機器を設置できるようになっている。

フォード・ポリス・インターセプター(2010年)
フォード・ポリス・インターセプター(2010年)

しかし、エクスプローラーをベースとするインターセプターはセダンを大きく上回る販売実績を上げている。2020年には新モデルが登場し、フュージョンベースのレスポンダー・ハイブリッド、F-150、エクスペディション、トランジットなど、フォードの警察車両シリーズに加わった。

シボレー・カプリスPPVポリス・セダン(2012年)

GMは現在、セダンタイプの警察車両を製造していない。これは、北米の自動車市場および警察機関におけるセダン人気の低下を反映している。代わりに、タホSSV、シルバラード、エクスプレスからなるラインナップを展開している。

シボレー最後の警察用セダンは、ホールデンをリバッジしたカプリスPPVで、2011年から2017年までオーストラリアから輸入されていた。ホールデンは、同車をオセアニアや中東の警察にも販売していたが、ホールデンの南オーストラリア州エリザベス工場が2017年に閉鎖したことに伴い、製造終了となった。

シボレー・カプリスPPVポリス・セダン(2012年)
シボレー・カプリスPPVポリス・セダン(2012年)

ダッジ・デュランゴおよびチャージャー・ポリス(2019年)

ダッジは2018年、警察用SUVの需要に応えて、V6または最高出力360psの5.7L V8ヘミエンジンを搭載した四輪駆動のデュランゴ・パシュートを投入した。

警察の業務に対応するため、冷却性能の改善と負荷分散サスペンション、大型ブレーキシステムを採用した。車内のUconnect 7.0インチディスプレイには、警察専用の車載システムが搭載されている。

ダッジ・デュランゴおよびチャージャー・ポリス(2019年)
ダッジ・デュランゴおよびチャージャー・ポリス(2019年)

これからのパトカーは?

フォードはセダン市場から全面撤退しつつあり、2019年にトーラスが製造終了となったことで、セダンのインターセプターも廃止となった。現在、米国で最も売れている警察車両は、エクスプローラーベースのフォード・ポリス・インターセプター(写真)である。標準モデルは最高出力318psの3.3Lハイブリッドで、オプションとして400psの3.0L V6エンジン搭載車も用意されている。警察もわたし達一般市民と同じように、SUVを積極的に購入しているのだ。

しかし、それは、これまでわたし達がよく知り、バックミラー越しに見るのを恐れていたセダン型パトカーの終焉が近いことを意味している。ビッグスリーのポリスセダンの栄光の時代は、終りを迎えたのである。

米国の警察車両は、車内が広く快適なSUVが主流となりつつある。
米国の警察車両は、車内が広く快適なSUVが主流となりつつある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グラハム・ヒープス

    Graham Heeps

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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