【以前より新型車の初期受注台数に鈍り】2025年3月期および2024年度の新車販売台数を詳しく

公開 : 2025.04.02 06:25

軽自動車の2025年3月期のブランド別新車販売台数

軽自動車の2025年3月期のブランド別新車販売台数は、前述の理由で一部生産ラインを停止したことから前年同月比14.1%減とマイナスに転じたものの5万7030台を販売したスズキが15カ月連続でのシェアトップに就く。

最大のライバルのダイハツは、全車種の生産・出荷を本格再開したことから同233.1%増の4万8140台を成し遂げた。一方、ホンダは同13.4%増の3万1447台とプラスを継続。対して日産自動車は同15.9%減の1万9459台、三菱自動車は同29.8%減の6790台とマイナスが続く。

マツダCX-60
マツダCX-60    神村聖

そして、OEM供給を受けるブランドはトヨタ自動車が同22.8%増の1720台、スバルが同67.4%増の1319台とプラスを継続したものの、マツダは同15.1%減の3911台と低迷した。

そして、2024年度の成績ではスズキが前年度比5.9%増の58万4729台を記録して2年連続での首位に立ち、ダイハツは同2.4%減の43万3098台にとどまる。また、デリカミニの販売が好調だった三菱自動車は同3.6%増の6万9318台とプラスを達成。対して、ホンダと日産自動車は前年度のプラスからマイナスに転じた。

新車販売の概況は?

2025年3月期の新車販売の概況について業界団体の関係者は、「昨年3月期は認証申請における追加不正行為の判明に伴ってダイハツが全車、トヨタ自動車が一部車種の出荷を停止していたこともあって、本年3月期は登録車と軽自動車ともにプラスを達成した。

ただし、3月6日にコイルばねを生産する中央発條の藤岡工場(愛知県豊田市)で爆発事故が起こり、それに伴い部品供給不足が発生してトヨタ自動車や豊田自動織機、ダイハツ、スズキの一部生産ラインが稼動を停止したことから、販売の伸び率は前月の18.7%を下回った。

マツダCX-60
マツダCX-60    神村聖

また、半導体など部品の供給不足による生産調整が発生したにも関わらず57万2494台を売り上げた一昨年3月期の数値には遠く及んでいない。コロナ禍からのリバウンド消費が一巡したこと、さらに物価の高騰によって消費者の倹約傾向が高まっていることなどが、新車販売に少なからず影響している」と示唆。

また2024年度に関しては、「認証試験不正の相次ぐ発覚とそれに伴う生産・出荷停止はあったものの、半導体など部品の供給不足の解消による新車供給の回復や、スケジュールが遅れていた新型車の発売などによって、2024年度は3年連続で前年実績超えを果たした。ただし、大台の500万台を42万台あまり下回っており、完全な復調とまでは言えない」と解説する。

今後については、「新車の需要は新型車を中心に底堅く推移しており、また各ブランドが積極的に新型車および特別仕様車のリリースやキャンペーンを展開していることから、今後の新車販売はプラスを継続する可能性が高い。一方、中央発條の爆発事故に伴う部品供給不足は4月に入っても一部で続いており、とくにスズキとダイハツの生産ラインに影響を及ぼしていることは懸念材料。

以前よりも新型車の初期受注台数の伸びが鈍り、加えて好調な販売を継続する期間が短い車種が増えていることも不安要素。また、生活インフラや商品価格の値上がり傾向が少なくとも今秋までは続き、さらにトランプ関税の悪影響が市場に出始めていることから、新車販売市場は予断を許さない状況」と指摘した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大貫直次郎

    Naojiro Onuki

    1966年型。早稲田大学卒業後、自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、フリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)などのほか、レストア待ちの不動バイク数台。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』シリーズなど。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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