歴代最強 紛うことなきロールス・ロイス スペクター・ブラックバッジへ試乗 2割増し価格へ納得

公開 : 2025.04.16 19:05

加速力に乗り心地、操縦性は真のロールス・ロイス

インフィニティ・モード時は、ステアリングが僅かに重くなり、アクセルレスポンスは鋭くなる。それでも、テスラモデルS プレイドやポルシェタイカン・ターボほど過激な特性になるわけではない。

バッテリーEVのスペクターでも、あくまでもロールス・ロイス。全長5490mm、車重2890kgの超高級クーペとして作られている。野蛮なダッシュ力は求められていない。

ロールス・ロイス・スペクター・ブラックバッジ(欧州仕様)
ロールス・ロイス・スペクター・ブラックバッジ(欧州仕様)

試しにアクセルペダルを蹴飛ばしてみると、ジェット旅客機が離陸時に加速するほどの勢い。ブラックバッジであっても、ブランドイメージに合致するし、V型12気筒エンジンの感覚とも重なる。

乗り心地と操縦性も同様。インフィニティ・モードの姿勢制御は僅かに引き締まるが、快適ではないと表現する人は皆無なはず。衝撃吸収性は素晴らしい。傷んだ路面を80km/h程度で走っている限り、ボディはほぼフラットに維持される。

加減速時のピッチを抑えるべく、ハードウェアにも変更が加えられた。余計な動きはまったく伴わず、マナーはラグジュアリーでしかない。

内装は細部まで豪華。カーボンファイバー製トリムは、軽量化ではなく織り目の美しさを添えるために与えられている。シートは大きくフラット。素材はくまなく上質で、サイドウインドウの位置は高い。前方に伸びるボンネットが長い。

リアヒンジのドアは重い。開くポジションでドアハンドルを握ると、そのまま身体が優しく外界へ導かれる。

想像以上に運転は楽しい 20%増しの価格へ納得

当然のように、車内は静寂。ただし、加速時に人工音を僅かに奏でることはできる。筆者は短時間で聞き飽きてしまい、オフにしたが。

すると、3mm厚みを増したステアリングホイールのリムを握る音が、1番目立つノイズになる。しっとりしていて、タッチは良い。お抱え運転手は、気に障らないよう、指でそっと操る練習をするはずだ。

ロールス・ロイス・スペクター・ブラックバッジ(欧州仕様)
ロールス・ロイス・スペクター・ブラックバッジ(欧州仕様)

路面を占める面積は、ピックアップトラック級に大きい。このクルマをドライバーズカーだと表現することは不思議に思えるが、他のロールス・ロイスと同様に、運転は想像以上に楽しい。

ペダルは、シームレスに発進・停止するのに最適な重み付けと滑らかさ。ステアリングは、極めて正確に反応する。通常のスペクターより速く、姿勢制御も磨かれたようだが、それ以外の美点はすべて受け継いでいる。

英国での価格は20%上乗せになるが、相応の見返りはある。至って麗しい、ロールス・ロイスだ。

ロールス・ロイス・スペクター・ブラックバッジ(欧州仕様)のスペック

英国価格:約40万ポンド(約7800万円/予想)
全長:5490mm
全幅:2015mm
全高:1575mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.1秒
航続距離:492-529km
電費:4.1-4.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2890kg
パワートレイン:ツイン励磁同期モーター
駆動用バッテリー:102.0kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:659ps
最大トルク:109.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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