黄色い「ゴルフカート」でロンドンを走る ユーゴーの新サービス 市民権は得られる?

公開 : 2025.05.17 19:05

ロンドンの効率的な移動手段として、新たに加わる電動ゴルフカート 最高速は32km/h 5kWhのバッテリー満充電で48km 軽快で活発な走り 荒れた舗装でも滑らか UK編集部が試乗

馬鹿げたアイデアではない 最高速は32km/h

ロンドンを効率的に移動するなら? 自転車か地下鉄、バスが定番といえる。だが、ゴルフカートという手段が加わった。英国のユーゴー社が展開する、新サービスだ。

現在はケンジントン宮殿の西側、ハマースミス周辺のエリアで、10台の黄色い「もと」ゴルフカートが貸し出されている。まだ2024年9月から始まった試験運用中だが、運転してみると、馬鹿げたアイデアではないことが見えてくる。

ユーゴーが提供するマーシェル社の電動カート
ユーゴーが提供するマーシェル社の電動カート

ユーゴーのカートには、大人2名が乗れる。最高速度は32km/hへ制限されるが、フロントガラスとルーフ以外、外界から身を守るモノはなく、スピード感は実際以上に高い。運転免許証を取得してから2年以上が経過した、25〜70歳の人が利用できるという。

レンタル費は、月額10ポンド(約2000円)の会員になれば、1分当たり0.1ポンド(約20円)。非会員は、1分当たり0.2ポンド(約40円)が請求されるそうだ。この料金設定は、レンタル自転車と渡り合える競争力を持つ。

駆動用バッテリーは5kWh 満充電で48km

運転前に、運転免許証や保険番号、支払い方法、郵便番号などを入力してユーザー登録する必要がある。認証までに24時間が必要だから、前日には済ませておきたい。

ユーゴーが整備する専用駐車場にカートは停まっており、QRコードのスキャンかアプリの操作で利用開始。駐車場へカートを戻し、ロックすれば返却終了だ。自宅前など、好きな場所での返却を可能にする計画もある。複数世帯での共有も検討されている。

ユーゴーが提供するマーシェル社の電動カート
ユーゴーが提供するマーシェル社の電動カート

このサービスを考案したのは、サミュエル・ベイリー氏。彼は自動車技術者で、高価なバッテリーEVにかわる選択肢をロンドン市民へ提供するべく、中国製のゴルフカートへ目をつけた。マーシェルというメーカーの車両だという。

駆動用バッテリーの容量は5kWhで、モーターの出力は4kW(約5.4ps)。満充電で48kmほど走れる。充電は街灯用の電源や、ルーフ部分のソーラーパネルで行われる。陽光を丸1日浴びれば、最大10km相当の電気を蓄えられるそうだ。

軽快で活発な走り 荒れた舗装でも滑らか

ユーゴーのカートは、基本的な技術はゴルフカートの延長だが、英国のマイクロカー規格へ合致するよう改良されている。実用性や耐候性も、高められている。

それでも、見た目は完全に黄色いゴルフカート。風が吹き込み、雨粒が入ってくる。ロンドン市民から冷笑されるのではないかという、一抹の不安がよぎる。内装は簡素なプラスティック製。後方には荷物置き場があるが、ロックはできない。

マーシェル社の電動カートを運転する筆者、ジョン・エバンス
マーシェル社の電動カートを運転する筆者、ジョン・エバンス

足もとには、ストップ、ゴーと記されたペダル。シートは、それなりに座り心地が良いものの、ウインカーとワイパー以外の装備はなし。スマホでロックを解除し、シートベルトを締めて、シフトレバーをDに入れ、アクセルペダルを踏めば走り出す。

軽いカートだから、加速は活発。回生ブレーキが強く、速度調整しやすい。前のサスペンションは独立懸架式で、荒れた市街地の舗装を滑らかにこなす。トレッドも広く、速度抑止用のスピードバンプも軽々乗り越える。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    役職:特派員
    フリーランスのジャーナリストで、AUTOCAR英国編集部の元スタッフ。姉妹誌『What Car?』誌の副編集長や『Practical Caravan誌』の編集長なども歴任した。元自動車ディーラーの営業マンという経験を活かし、新車・中古車市場や消費者問題について幅広く取り扱っている。近年は、これらのニュースや特集記事に加え、アイスクリーム・ワゴンのDIY方法から放置車両の探索まで、さまざまな記事を寄稿している。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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