メルセデスAMGで今1番トラッド CLE 53 プロパフォーマンス(1) 技術満載ハードを概説

公開 : 2025.09.24 19:05

3.0Lエンジンをワイドなボディで包むCLE 53 多彩なシャシー技術が標準 高品質な内装に有能なタッチモニター 頼もしい動力性能 乗り心地は硬め 自然な操舵感や回頭性 UK編集部が試乗

大排気量エンジンにワイドなボディ

メルセデスAMGは今、どの程度の電動化が最適で、ブランドらしさを体現できるのか、という難題を抱えている。多くのモデルがプラグイン・ハイブリッド化される中で、CLE 53はマイルド・ハイブリッド。渾身の63ではなく、マイルドなAMGでもあるが。

とはいえ、昨今は大排気量と呼べるエンジンに四輪駆動、ワイドなボディと、トラッドな内容でまとまっている。V8エンジンの復活が予告されているものの、現在のCLEでは53がその頂点にある。今回は、プロパフォーマンス仕様の実態を探ってみたい。

メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・プロパフォーマンス(英国仕様)
メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・プロパフォーマンス(英国仕様)

CLEは、CクラスEクラスのクーペやカブリオレの融合といえ、プラットフォームはMRA II。4気筒以上のエンジンへ対応させるため、フロント部分はEクラスの技術が利用されているが、実質的にはCクラスへ近い。

53へ載るのは直列6気筒のM 256Mユニットで、職人によるハンドビルドではない。2基のツインスクロールターボと電動コンプレッサー、トルクコンバータータイプの9速ATへ内蔵される電気モーターで補強され、エネルギー効率の改善も狙われている。

多彩なシャシー技術が標準 専用ボディキットも

サスペンションは、英国仕様のCLEでは唯一、アダプティブダンパーが標準。ステアリングレシオは車速感応式で、後輪操舵システムと、自在にトルク分配率を変えられる四輪駆動システムが組まれる。前後の重量配分は54:46で、BMW M4 CSと同値だ。

フェンダーラインは、AMGではないCLEよりフロントで58mm、リアは75mm拡幅。それに見合うよう、低く構えたバンパーとディフューザーも得ている。プロパフォーマンス仕様では、リアのリップスポイラーやアンダーボディパネルなども与えられる。

メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・プロパフォーマンス(英国仕様)
メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・プロパフォーマンス(英国仕様)

またこのパッケージでは、四輪駆動システムがリアアクスル主体の設定になり、アクティブエンジンマウントやバケットシート、カーボンファイバー製の内装トリムも付随する。そのお値段は、英国では7500ポンド(約148万円)なり。

美しく高品質な内装 有能なタッチモニター

インテリアは、近年のメルセデスの中では、最もアナログとデジタルのバランスが良い印象。大きなタッチモニターは、Cクラスと同じダッシュボード中央の下寄り、センターコンソールとつながるように配され、主張が控えめで好ましい。

凝った形状の送風口や化粧トリムのラインなど、ディティールも美しい。実際に押せるハードスイッチは少ないが、扱いやすいインターフェイスで補っている。

メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・プロパフォーマンス(英国仕様)
メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・プロパフォーマンス(英国仕様)

タッチモニターの反応は素早く、再生メディアやエアコンのメニューは常時表示され、音声アシスタントの理解力は最高水準だろう。またAMGとして、旋回Gなどを確認できるAMGパフォーマンスメニューも実装される。IWCデザインの時計もうれしい。

内装の素材は、ソフトなレザーにカーボン製化粧トリム、ブルメスター社製スピーカーを覆うメタルグリルなど、高品質な物が多い。だがタッチモニター周辺のパネルや、リアシート側のセンターコンソール周りなど、安っぽい樹脂がないわけではない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

メルセデスAMG CLE 53 プロパフォーマンスの前後関係

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