グループの実験台じゃない 伝統x革新のスカウト(2) VWとアウディから新モデルも?

公開 : 2025.06.05 19:07

知る人ぞ知るオフローダー、スカウトがEVで復活 きっかけはラングラーやブロンコの人気 ラダーフレームを新規開発 伝統と革新を融合 VWグループの実験台ではない UK編集部がトップへ取材

VWグループの実験台ではない 顧客中心主義

復活を果たそうとしているスカウト。「わたし達は、フォルクスワーゲン・グループの実験台ではありません。革新的な技術に、最大のチャンスがあると考えています」。同社の技術責任者、ブルクハルト・フンケ氏が説明する。

発電用エンジンのレンジエクステンダーを採用することも、強みだと話す。充電インフラが未整備の地域でも、充分な悪路性能を提供できる。瞬発的パワーやトルクベクタリング、均等な重量配分も、新たな可能性をもたらすだろう。

スカウト・トラベラー(プロトタイプ)
スカウト・トラベラー(プロトタイプ)

「顧客中心主義として、お客様の意見へ耳を傾けています。コンセプトとプラットフォームには、好評をいただきました。フィードバックを受けて、レンジエクステンダー版も開発を進めています。充電ステーションと、一緒に移動するようなものです」

先進のソフト・ディファインド・ビークル(SDV)として、ソフトウエア開発もスカウトの性能を左右する鍵となる。フンケがソフトウエアやエレクトロニクス分野でキャリアをスタートさせたことが、強みに働くに違いない。

ソフト基盤にはリビアン社も レーザーのように集中

フォルクスワーゲン・グループは、SDVをひと足先に実践する、アメリカのリビアン社とも提携している。この2社による合弁事業の目的は、新たなソフト・アーキテクチャの開発で、スカウトが最初に採用するブランドの1つになる予定だという。

「最新アーキテクチャとして、クラウド・コネクティビティへ完全に対応し、自己診断や新機能の利用が可能になるでしょう」。ただし、2024年に発表されたコンセプトカーの量産版が登場するのは、早くても2027年になる見込み。

スカウト・トラベラー(プロトタイプ)
スカウト・トラベラー(プロトタイプ)

それまでに、アメリカ・ジョージア州に建設中の工場を稼働させる必要がある。新規雇用は4000名規模で、生産能力は年間20万台になる。20億ドル(2900億円)もの投資額は、フォルクスワーゲン・グループがバックアップするからこそだろう。

「スタートアップですから、開発へ集中できます。2つのモデルへ、レーザービームのように。車両シミュレーションにもデジタル技術を活用し、開発の高速化が可能です。お客様へお届けする前に、時間をかけて製品を仕上げることも」

フォルクスワーゲンとアウディから新モデルも?

既にアメリカでは予約が始まっており、その大半はワゴンボディをまとうSUVのトラベラーだという。ピックアップトラックのテラより、人気は高いらしい。この2車種で、北米の該当市場における売上高と純利益の、40%を占めることが目標とのこと。

「ただでお金は入りません。スケールとコストで、ベンチマークになるような研究開発組織を目指しています。スポンサー(フォルクスワーゲン・グループ)にも評価されている挑戦です。もちろん、しっかり監視されていますよ」。とフンケが笑う。

スカウト・トラベラー(プロトタイプ)
スカウト・トラベラー(プロトタイプ)

フォルクスワーゲンとアウディは、自社ブランドのモデルとして、スカウトのプラットフォームへ関心を示しているという情報がある。新設工場は、ブランドが軌道に乗るまでの間、他ブランドの生産に利用される可能性も示唆されている。

「既存企業のスケールと、新興企業のエネルギーが融合すれば、どれほどのスーパーパワーになるか想像してみてください」。デッカーが描く未来は、成功へ続いている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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