最近のホンダってどうですか?(フリード&アコード編)【新米編集長コラム#36】

公開 : 2025.06.29 13:05

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第36回は、立て続けに試乗した3台を中心に、最近のホンダ車について書く話の前編です。

「そう言えば乗っていない」

きっかけは、「そう言えば乗っていない」と気がついたことだった。日本カー・オブ・ザ・イヤー2024-2025(COTY)を受賞した、ホンダフリードの話である。

実のところ、COTY受賞車に(しっかりと)乗ったことがないというのは、今に始まった話ではない。細かくは書かないが、今調べたところここ10年で受賞した10台中5台は、それなりの距離を乗れていなかった。

筆者の住む静岡県東部で撮影した、『ホンダ・フリードe:HEVエアーEX』。
筆者の住む静岡県東部で撮影した、『ホンダ・フリードe:HEVエアーEX』。    平井大介

趣味車に特化した前職時代ならさて置き、現職の立ち位置においてこれはよくない……と思い、フリードに加え、これまた乗れていないアコード、そして試乗会で乗れなかったシビックのハイブリッドという3台を、約1週間ずつ取材させて頂くことになった次第だ。

現在の日本国内におけるホンダの新車ラインナップを見ると、そのほとんどが軽自動車、ミニバンやSUVのいずれかで、セダンはアコード、ハッチバックはシビック、スポーツカーはシビック・タイプRのみとなる。これを寂しく思うのは筆者だけではないだろうが、時代の流れと納得している。

先日出席したホンダの『2025ビジネスアップデート』のプレゼンで代表取締役社長の三部敏宏さんは、「2021年の就任以来、総合モビリティカンパニーとして移動の喜びを提供してきた」と述べた。そして、「2050年までに全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルと、交通事故死者ゼロを実現するという目標達成に向けたフロントランナーになると掲げている」ことも、強調している。

全ての取材を終え、今思っているのは、そういう前提でホンダ車を見る必要があるということだ。それでは、取材の時系列順に振り返ってみたいと思う。

フリードはホンダのベストセラーカー

まずはフリードから。今回お借りしたのは、『ホンダ・フリードe:HEVエアーEX』の7人乗りで、ボディカラーはシーベットブルー・パールである。念のため書いておくと、同グレードは7人乗りがFFのみ、6人乗りにFFと4WDが用意される。クロスターと呼ばれる、アウトドアイメージのグレードがあるのも特徴だ。

フリードは、日本自動車販売協会連合会が公表している2024年の乗用車ブランド通称名別順位において、8万5368台で5位に入っている。これはトヨタカローラ、ヤリス、シエンタ日産ノートに続くもので、ホンダのベストセラーカーだ。参考までに同じホンダでは、ヴェゼルが7万5424台で9位に入っている。

自宅周辺はこのように狭い道も多く、5ナンバーに収まるフリードは使いやすい。
自宅周辺はこのように狭い道も多く、5ナンバーに収まるフリードは使いやすい。    平井大介

確かに、筆者が住んでいる静岡県東部で周囲を見渡すと、フリードやシエンタはかなりの台数が走っている印象だ。やはり6~7人が乗れるミニバンで5ナンバーに収まっているのは強くて(クロスターは3ナンバーだが)、写真のような狭い道が多いところでこのパッケージは魅力的。取材車の325万6000円という価格も、手が届きやすい範囲と言える。

高速を中心とした長距離を乗っていると、クルマの上屋が重く感じたり、シートの座面が薄く感じたり、足まわりも少しバタつく感じがしたりと、個人的には気になる部分がいくつかあった。

しかしその間、燃費は20km/L以上をシレッと記録し、改めてナンバープレートを見て「これ、5ナンバーか!」とそのサイズに驚き、アレンジが簡単な3列目シートに感心。そしてこのボディカラーがかなり気に入っていて、室内の素材感も良好。だんだんと、売れるクルマの雰囲気が各部から伝わってきた。

ご存知のように、ホンダには昔から『M・M思想』と呼ばれる、『マン・マキシマム/メカ・ミニマム』、すなわち『人のためのスペースは最大に、メカニズムのためのスペースは最小に』という考え方がある。なるほど、フリードは現代におけるM・M思想体現車なのか……と妙に納得してしまった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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