最大98%の減速を電気に 新型 BMW iX3 プロトタイプ(2) 躍進を実感させる運転体験

公開 : 2025.07.02 19:10

EVに最適化されるノイエクラッセ・プラットフォーム 航続距離799km 10分で350km相当を充電可能 まったく新しいOS「X」 従来から飛躍の動力性能と操縦性、洗練性 UK編集部が試作車へ試乗

躍進の動力性能と操縦性、洗練性

次期BMW iX3のダッシュボードに、スタートボタンはない。キーを持って乗れば、スタンバイ状態へ自動的に切り替わる。発進するには、シフトセレクターでDを選ぶだけだ。

試乗車は、短くない開発テストを経てきたプロトタイプで、過酷さを示す小傷があちこちに残っていた。それでも従来のiX3から、動力性能と操縦性、洗練性が大幅に引き上げられていることは間違いないだろう。

BMW iX3(次期型プロトタイプ)
BMW iX3(次期型プロトタイプ)

ドライブモードは、パーソナル、スポーツ、エフィシェント、サイレントの4種類から選べる。パーソナルは、ドライバーが任意に設定を登録できるモード。パワートレインとステアリング、回生ブレーキの効きなどを、お好みで指定できる。

これらも含めて、iX3の電子制御システムを統合するのが、ハートオブジョイと呼ばれるコントロールユニット。現行のBMWと比較し、処理速度は10倍速いという。

最大98%の減速をエネルギーとして回収

新しいノイエクラッセ・プラットフォームでの強みとなるのが、回生ブレーキの効率。最大98%の減速を、電気エネルギーとして回収可能だという。物理的なブレーキが機能するのは、急ブレーキ時だけらしい。

ステアリングホイールの裏にパドルはなく、効きの強さはシフトセレクターで切り替える。Dでは、惰性素行もある程度可能。Bでは明確に減速が強くなり、ワンペダルドライブにも対応する。アクセルペダルの反応は極めて漸進的で、扱いやすい。

BMW iX3(次期型プロトタイプ)
BMW iX3(次期型プロトタイプ)

サスペンションは、前がダブルウイッシュボーン式で、後ろがマルチリンク式。これは、現行のX3譲りとなる。スプリングはエアバッグではなくスチールコイルだが、油圧バンプストッパーが採用され、しなやかな乗り心地を叶えている。

洗練度は印象的なもの。しなやかで落ち着きがあり、運転する自信を醸し出してくれる。タイヤは、21インチと大径な255/40のグッドイヤーを履いていたが、明らかに快適性は従来を上回っていた。

強みの姿勢制御 運転支援技術も大幅に進化

ステアリングは軽く正確。切り込んでいくと、可変レシオシステムが重みを与え、このクラスでは出色の一体感を味わえるように思えた。

フロントのグリップ力は素晴らしく、直進安定性も見事。車重は2300kg近くになると予想されるが、前後の重量配分は49:51と理想的で、重苦しさも感じにくい。

BMW iX3(次期型プロトタイプ)
BMW iX3(次期型プロトタイプ)

姿勢制御も、数多くある強みの1つだろう。ボディロールをある程度伴いつつ安定し、ドライバーはiX3の状態をしっかり把握できる。スタビリティ・コントロールをオフにし、スキッドパッドへ侵入してみたが、軽くブレーキを踏むだけでライン調整可能だった。

レベル2以上に対応する、運転支援技術も大幅に進化するようだ。介入はスムーズで、ドライバーの運転を邪魔しない印象。車線変更機能やアダプティブ・クルーズコントロールの滑らかさには、本当に驚かされた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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