メルセデスAMG 「油冷」バッテリーで急速充電 1360馬力の次世代高性能EV『GT XX』登場
公開 : 2025.06.27 18:45
パワートレイン
GT XXの心臓部は、3基のモーターからなるドライブトレインだ。リアに2基のアキシャルフラックスモーター、フロントに1基のモーターを搭載し、低負荷時にはフロントモーターを切り離して機械的抵抗を減らすことができる。合計出力は1360psで、四輪駆動の4マティック+システムを備えている。
モーターは、メルセデス・ベンツが所有する英国のヤサ(Yasa)社が開発したもので、同社の製品はフェラーリやランボルギーニでも採用実績がある。

電力は、AMGのF1パワートレイン部門と共同開発した114kWhの油冷式円筒形セルバッテリーに蓄えられる。電気を通さないオイルでセル全体を浸す液浸冷却方式を採用しており、AMGによると従来の液冷式よりも表面積が広く、効率的な熱伝導を実現するとのことだ。
バッテリーは「800V以上」の高電圧で動作し、理論上は最大850kWのDC充電に対応しているが、現在、そのような容量を備えた公共充電器は存在しない。航続距離については未発表だが、5分間の充電で約400kmを走行できるという。
シェーファー氏は、「3年前、道路上で300kWの充電は考えられませんでした。それが今では現実になりました。中国ではすでに480kWの充電ステーションが見られます。1000kWの充電施設も登場するでしょう」と述べている。
足回りとしては、ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションとマルチリンク式リアサスペンションに、アダプティブエアスプリングを組み合わせている。また、量産バージョンにも採用予定のアクティブロールコントロールと後輪ステアリング・システムも搭載。前後重量配分を50:50とされる。
サウンドと内装
AMGは、今日のV8エンジン搭載モデルの魅力を維持するために、多大な努力を払ったと主張している。例えば、ヘッドライトハウジングに組み込まれた8スピーカーのエクステリアサウンドシステムから、加速音を再現する。
「AMGは、単なるパフォーマンスだけの存在ではありません。クルマのサウンドという、エモーショナルな要素が欠かせないのです。EVでも、その体験は実現できると信じています」とシェーファー氏は述べている。

インテリアは、高級セダンの要素とGT3レースカーの要素が共存している。ダッシュボードには2つのデジタルディスプレイ(10.25インチと14インチ)が配され、ステアリングホイールはAMGワンから着想を得たデザインだ。オレンジ色の照明は、高電圧ケーブルの色を彷彿とさせるもので、シートには人間工学に基づいて3Dプリントで作成されたインサートが採用されている。
実験的な素材が数多く使われており、GT3タイヤからリサイクルされたバイオテックレザーの代替素材、タンパク質由来のバイオシルク製ドアハンドル、ヘッドライナーのないむき出しのカーボンファイバー製ルーフなどが備わる。フロアにもリサイクル素材が使用され、チェッカーフラッグパターンでプリントされている。
GT XXの量産バージョンは2026年に登場する見込みだが、翌2027年には、このモデルと密接に関連するSUVが加わる。これは、近日導入予定のEVのポルシェ・カイエンに対抗するモデルだ。
しかし、最近では、複数の高性能車メーカーがEV戦略を縮小している。フェラーリは、予想を下回る需要を受けて、2番目のEVモデルの発売を少なくとも2028年まで延期すると報じられているが、10月に初のEVを発表する計画は変更していない。ランボルギーニ、ポルシェ、マセラティも、今後のEVモデルの発売を延期または中止している。



















