フェラーリ12チリンドリ x アストン マーティン・ヴァンキッシュ(1) 過去イチに競合関係のV12 GT

公開 : 2025.07.11 19:05

市街地との親和性 バンピー・モードで快適

V12エンジンを始動すると、アイドリング・ノイズもマイルド。発進させると、懐がより深い。8速の1000rpmという低域で、60km/hでの巡航が可能。そこから息苦しくなく加速もする。ポルシェ911に並ぶほどではないものの、市街地との親和性は高い。

ステアリングはクイックなままだが、切り始めの反応は一層リニア。湾曲したガラス製キャノピーで包まれた車内は、居心地も良い。成熟度と重厚感が、増した印象だ。

フェラーリ12チリンドリ(英国仕様)
フェラーリ12チリンドリ(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ダッシュボードは左右対称。右ハンドルへ対応するうえで、コスト効率の良さを狙ったのだろう。試乗車にはシートのマッサージ機能と、ワイヤレス充電パッドが備わっていた。

赤いボタンでバンピーロード・モードを選ぶと、感心するほど乗り心地は良くなる。現実の世界では、これがとても重要。ハイエンドなスーパー・グランドツアラーとて、路面が傷んだ一般道を疾走する場面はある。

アストンの一部になった気分 素晴らしい視界

スコットランドまで560km走ったが、高速道路では4000rpm以下でこと足りた。最大トルクは7250rpmで得られるが、6速のまま、80km/hから120km/hまで瞬時に速度上昇を終えられる。驚くほど安楽に、長距離をこなせる。まるで、疲れが取れるように。

こんな心象が鮮明なまま、ヴァンキッシュへ乗り換える。パノラミック・ガラスルーフが備わり、車内の明るさにハッとする。ウエストラインの位置が高く、シートシェルは硬くクッションは柔らかく、アストン マーティンの一部になった気分になる。

アストン マーティン・ヴァンキッシュ(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァンキッシュ(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

12チリンドリも、カーボン製シェルのタイトなバケットシートを組めば、座面の位置は約20mm落とせる。それでも、同等の感覚にはならないと思う。インテリアはラウンジのよう。全方向の視界も素晴らしい。サイズが大きいだけに、ありがたい。

この続きは、フェラーリ12チリンドリ x アストン マーティン・ヴァンキッシュ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フェラーリ12チリンドリ x アストン マーティン・ヴァンキッシュの前後関係

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