【エスクードではなくeビターラ】BEVと内燃機関の良いとこ取り!スズキ登録車初の電気自動車は『良く出来たクルマ』

公開 : 2025.07.10 11:15

スズキはコンパクトSUV『eビターラ』を、今年度中に日本でも発売予定です。スズキの登録車初のBEVとなりますが、後発としてどんな仕様に仕上げてきたのでしょうか?内田俊一がその開発者のコメントと試乗記をまとめました。

エスクードではなくてビターラ

スズキから同社登録車初のBEV『スズキeビターラ』が、日本でも今年度中に発売予定だ。一部メディア向けに事前試乗会が模様されたので、開発責任者のコメント共に走らせた印象をまとめておこう。

スズキ・ビターラは、エスクードとして日本にも数年前まで導入されていた。そのBEV版がeビターラと勘違いしてしまいそうだが、実はそうではなく、全くの新規開発車両だ。

スズキから同社登録車初のBEV『スズキeビターラ』が、日本でも今年度中に導入予定。
スズキから同社登録車初のBEV『スズキeビターラ』が、日本でも今年度中に導入予定。    スズキ

チーフエンジニアの小野純生さんは、「プラットフォームからすべて違います」としたうえで、「スズキのイメージはSUVやアウトドアです。そこで初めてのEVですから、お客様がイメージしやすいことを第一に考えビターラの前にEVのEを付けたのです」とネーミングを説明。

エスクードという名称に関しては、「かなり社内でも議論したのですが、スズキのEV世界戦略車ということで、世界統一の名前にしました」とのことだった。

また、日本に導入した理由について小野さんは、「EV市場形成がまだまだだから」という。

「EVの良さやEVとは何ぞやということをお客様に知らしめていないのが現状で、悪循環になっています。つまり、クルマが売れないからクルマが少ない。だから、お客様も買わないということ。そこにメスを入れたい。お客様にEVはこういう良いところもあるということをいいたくて日本にも導入しました」とコメント。

一方で、「販売は苦戦するでしょうね」とも。スズキは業販が強いので、そこでのEVの周知がキモとなりそうだ。

BEVであることを忘れそう

そんなeビターラを、実際に走らせてみよう。今回はまだナンバー取得前のため、袖ヶ浦フォレストレースウェイでのプロトタイプ試乗となった。

まずステアリングを握ったのは、61kWhの2WD。ゆっくりとコースインして様子を見ながら最初に気付いたのが、静粛性の高さだった。限られた環境ではあるが、ロードノイズの侵入は非常に低く抑えられ十分満足のいくもの。

「プラットフォームからすべて違います」とチーフエンジニアの小野純生さん。
「プラットフォームからすべて違います」とチーフエンジニアの小野純生さん。    内田俊一

そして乗り心地の良さにも驚いた。サスペンションがしなやかで、段差を超えた時などはきれいにショックを吸収してくれる。また、コーナーに侵入して徐々にアクセルペダルを踏み込んでいくと、フロントもリアもしっかりと路面を捉え、安心感のある走りを披露する。

ステアリングフィールも満足のいくものだ。きちんと路面からのフィードバックをドライバーに伝えて来るし、フロントがグリップを失うタイミングもしっかりと把握できた。

もうひとつ驚いたのは、低重心感が強調されていないことだ。重いバッテリーを床下に配することで低重心化は可能だが、それが行き過ぎると特にルーフあたりで違和感のある揺れ方になりがち。しかし、およそ30分間コース上を走り続けると、途中からBEVという意識は完全に忘れ去り、まるでよくできた内燃機関車を操っている印象なのだ。

BEVらしさといえば、回生ブレーキを強めにセットすれば、アクセルペダルを戻すと適度な減速も得られる。60km/h程度で流す分にはブレーキペダルに足を乗せる機会はほとんどなかったので、BEVと内燃機関の良いとこ取りという印象だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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