M55ゼロエディションに乗って思った、光岡自動車の純粋な想い【新米編集長コラム#38】

公開 : 2025.07.13 11:45

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第38回は、M55ゼロエディションに乗って抱いた光岡自動車への想いです。

55周年にコンセプトモデルが登場

光岡M55』(エムダブルファイブ)を試乗する機会を頂いた。

M55は、光岡自動車がホンダシビックをベースにオリジナルのボディを組み合わせたモデルで、光岡がこうした様々なコンプリートカーを長年生産してきたことはご存知だろう。

今回取材した『光岡M55ゼロエディション』。ベースはホンダ・シビック。
今回取材した『光岡M55ゼロエディション』。ベースはホンダ・シビック。    神村聖

現在のラインナップは、トヨタヤリスをベースとした『ビュート』、トヨタ・カローラがベースの『リューギ』(セダン、ワゴン)、そしてM55となる。マツダロードスターがベースの『ヒミコ』は、3月にファイナルエディションを発表した。

最近では、トヨタRAV4がベースの『バディ』、ロードスターがベースの『ロックスター』のヒットが記憶に新しい。特にバディは増産に苦労したそうで、それを乗り越えた先に登場したのがM55だ。

M55は、2023年の光岡自動車55周年にコンセプトモデルが登場。そこで実に3000通以上の市販化を望む熱いメッセージが届き、2024年11月のデビューに至ったという。最初は100台限定の『ゼロエディション』で、応募者が350人に達した時点で受付終了としたところ、予想をかなり上回る速さで締め切りとなった。

現在はゼロエディションの生産中で、3月には2026年モデルとして『ファーストエディション』を発表。最初に購入できなかった応募者へ優先的に案内しつつ、現在も購入申込を受付中だ。

ゼロエディションは改良前のシビックLX(1.5L直列4気筒ターボ)がベースで、トランスミッションは6速MTのみ。ファーストエディションは現行モデルのLXに加え、e:HEVと呼ばれる2L直4+モーターのハイブリッドであるEXとLXから選択可能。トランスミッションはATのみだ。今回取材したのは広報車として設定された前者、ゼロエディションとなる。

「これはスカイラインがベースですか?」

レジェンダリーグレーメタリックと呼ばれる専用のボディカラーでペイントされたゼロエディションは、光岡と同じ富山に拠点を置くホイールメーカー『鍛栄舎』製の18インチアルミホイールがブラックということもあり、街中に持ち出すとなかなかの存在感だ。

実はガソリンスタンドで洗車をする際に「これはスカイラインがベースですか?」と聞かれたのだが、M55のメインターゲットは55歳くらいで、1970年代国産GTカーに思いを馳せてデザインされたというから、狙いは外していないと言える。

ゼロエディションは、レジェンダリーグレーメタリックと呼ばれる専用のボディカラーでペイントされる。
ゼロエディションは、レジェンダリーグレーメタリックと呼ばれる専用のボディカラーでペイントされる。    神村聖

ベースはシビックなので、いいところも気になるところも最近試乗したばかりのシビックそのままだった。MTを駆使してのドライビングはスポーティだが、その分、街中での乗り心地は若干硬め。ロードノイズが大きめに感じたのは、ベースモデルが採用しているグッドイヤー・イーグルF1の影響かもしれない。シートも弱点のひとつだ。

しかし、そういったことはこのクルマにとって重要ではなく、個人的にはよくぞこのスタイルにまとめたと感じている。長年続けたことで、デザイン力と再現能力があがっている気がしてならない。このスタイルを実現するためにシビックを選んだそうだが、結果を見れば正解だろう。

ちなみに、ゼロエディションの価格は808万5000円と決して安くはないが、国産車ならではの信頼性の高さも購入理由となっている様子。輸入車を選ぶことができる層が、人とは違うものを求めてたどり着く側面もあるようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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