ボンドガール好演で脚光 マーキュリー・クーガー XR-7(1) V8は最強仕様の428コブラジェット

公開 : 2025.08.09 17:45

エンジン故障で390ユニットへ換装

思い切り楽しんでいたある日、エンジンが故障する。「当時は経験が足りなかった。預けたメカニックは、エンジンブロックへヒビが入っていると説明したんです。390ユニットへ換装されたんですが、恐らく、428コブラジェットが欲しかったんでしょう」

再びエンジントラブル。バリッジはクーガーを手放す。「クルマへ大金をつぎ込んでいたので、少し損した気分でした。正直なところ、余り良い思い出はないんです」

マーキュリー・クーガー XR-7 コンバーチブル(1969~1970年/欧州仕様)
マーキュリー・クーガー XR-7 コンバーチブル(1969~1970年/欧州仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

同時期に21歳だったサラ・ハード氏は、そのクーガーの存在を知っていた。ロンドンの北東、イルフォードの駐車場で、頻繁に目撃していたという。「007に登場したクルマとして、注目を集めていました。彼は、売りたいとも話していました」

これへ先に目をつけたのが、サラの彼氏になる、スティーブ・グリーンヒル氏。V8エンジンを修理し、ボディを再塗装したものの、ちゃんと走るようにはならなかったとか。後に2人は結婚し、クーガーはサラのものになった。

007への登場とは関係なく最高のクルマ

彼女が振り返る。「女の子がこんなクルマを運転しているの? って驚かれたことは何度も。土曜日の午後になると、キングスロードで開かれるカーミーティングへクーガーで加わりました。思い切り飛ばして、最高だったわ」

「スティーブが運転していた時、ボンネットから大きな音がして、炎が立ち上がったこともあります。4バレルのツインキャブレターから。典型的なトラブルでした」。サラが妊娠すると、生活を整えるためクーガーは売りに出された。

マーキュリー・クーガー XR-7 コンバーチブル(1969~1970年/欧州仕様)
マーキュリー・クーガー XR-7 コンバーチブル(1969~1970年/欧州仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

次のオーナーになったのは、アメ車仲間だったポール・マカリー氏。「修理が必要だと知っていたので、1500ポンドに値切りました。走りは完璧で、本当に面白かった。007へ登場したこととは関係なく、最高のクルマでした」

そう振り返る彼は、グレートブリテン島中部、ベッドフォードシャー州の専用コースでドラッグレースに興じた。「スタートラインで、ブレーキとアクセルのペダルを同時に踏み込んでいる瞬間は、凄い興奮でしたよ。爆音も強烈でしたし」

執筆:マシュー・フィールド(Matthew Field)

この続きは、マーキュリー・クーガー XR-7(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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