完全に同じ2台は存在しない MGA 1600で楽園の道へ(2) クルマ好きなら1度は体験したい旅
公開 : 2025.08.16 17:50
先代から多くの技術を継承したMGA 第二の故郷はポルトガル? トルクが太い後期の1600 低く唸るBシリーズ 小気味良いロードスターにピッタリのドライブルートを、英国編集部が巡る
もくじ
ートルクが太い1600 低く唸るBシリーズ
ー完全に同じ2台は存在しない英製クラシック
ー低速域で小気味良いMGAにはピッタリ
ークラシックカーには理想郷のような場所
ー5台のMGAで旅行者を待つハウクス夫妻
ーMGA 1600(1958~1960年/欧州仕様)のスペック
トルクが太い1600 低く唸るBシリーズ
ヴィンテージ・ツアーズを主宰する、ハウクス夫妻がオススメするポルトガルのドライブルートは、ペネダ・ジェレス国立公園を経由しドウロ自然公園を巡り、ポンテ・デ・リマへ戻るというもの。翌朝は、スペインの国境を目指すことから始まった。
西の山岳地帯へ進むほど、人の営みは少なくなる。アイリス・ブルーのMGAは後期の1600で、前期の1500よりトルクが太い。ショートレシオの4速MTを操れば、多少の坂道でも苦労要らず。着座位置が低く、ボディも低く、スピード感はかなり高い。

カーブではボディロールが小さくなく、ドア上面へ肘を載せ、身体を支えるというスタイルをすぐに習得した。エンジン音は、4気筒のBシリーズ・ユニットらしく低く唸るよう。迫る岩肌へ反響する。
国境へ向かう途中、アルト・リンドーソ・ダムの竣工で生まれた、巨大な人口湖と出会う。対岸を結ぶ見事な橋を、何本も通過する。
完全に同じ2台は存在しない英製クラシック
景色へ見惚れていると、金属片が転がる音。急いで路肩へ停める。潤滑系の部品がアスファルトへ落ちていたが、オイル漏れはない。後方を走っていたマティス・ハウクス氏が、部品を確認する。MGAのものではないらしい。
確認で停まったのを機会に、マティス・ハウクス氏が乗るシャリオット・レッドのMGAへ乗り換えてみた。運転してきたアイリス・ブルーと異なり、シートのクッションが薄く乗り降りしやすい。

Bシリーズ・エンジンには、高圧縮比ヘッドとスポーツマフラーが組まれている。走りはより活発だが、ペダルの動きは渋い。ブレーキは、比較すれば弱い。終戦直後の英国製スポーツカーらしく、完全に同じ2台は存在しない。
スペインを19km走ると、再びポルトガルへ入国。複雑な山岳地形が影響し、ポンテ・デ・リマから目的地の1つ、ペネダ・ジェレス国立公園へ向かう最短ルートなのだとか。使われなくなった国境検問所の建物が、道路脇へ佇んでいた。
低速域で小気味良いMGAにはピッタリ
深い森へ分け入り、道は緩やかな下り。長い直線を、ヘアピンカーブが結んでいる。苔むした木々の間に、遺構や滝が点在している。休憩するのに丁度良い、駐車場や展望台が要所要所に設けられ、観光ルートとしての水準も高い。
国境から国立公園の中心付近にある観光拠点の町までは、13kmほど。きついカーブが多く、止まらず走っても20分以上かかるとか。走りごたえは充分。必要なら、もう一度往復しても構わない。

ハウクス夫妻はベストルートを知っている。景勝地、ミラドウロ・ヴォルタス・デ・サン・ベントへ続くワインディングへ逸れる。眺望の見事な山頂まで、舗装も素晴らしい。
パワフルなスポーツカーなら、少し手狭かもしれない。道幅は広くなく、ヘアピンカーブが連続している。エンジンは、充分に回せないだろう。低速域で小気味良い、小柄なMGAにはピッタリ。ドライブトレインは平凡でも。

























































































