【MTへ回帰か】マセラティが「アナログ」な新型スーパーカーを計画中

公開 : 2025.08.06 19:45

マセラティはアルファ・ロメオとタッグを組み、新たなフラッグシップ・スーパーカーの開発を検討しています。このモデルは限定生産となる予定で、強力なV6エンジンを搭載し、早ければ来年にも登場する可能性があります。

再びアルファとタッグ

マセラティは、スポーツの血統を強調し、ブランドの価値を向上させるため、V6エンジンとマニュアル・トランスミッションを搭載した新たなフラッグシップ・スーパーカーの開発を検討しているようだ。

このモデルは限定生産となる見込みで、早ければ来年にも登場する可能性があり、20年前に登場したMC12以来、マセラティが送り出す最もパワフルな内燃エンジン車となりそうだ。

20年前にデビューしたMC12は正真正銘のスーパーカー。
20年前にデビューしたMC12は正真正銘のスーパーカー。    AUTOCAR

グラントゥーリズモをベースに開発される可能性が高く、MC20/MCPuraをベースにしたアルファ・ロメオの『33ストラダーレ』と同様、アルファ・ロメオからも兄弟車が出ると予想されている。

先月開催のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでAUTOCARの取材に応じたマセラティとアルファ・ロメオのCEO、サント・フィチーリ氏はこう語った。

「マセラティは全ラインナップにおいて、お客様がカスタマイズできる無限の可能性を秘めています。アルファ・ロメオとの協業も含めて、過去の実例を再現することを視野に入れています」

彼は過去の両ブランドの協力関係に言及した。たとえばアルファ・ロメオの『8Cコンペティツィオーネ』は、先代のマセラティ・グラントゥーリズモをベースに、モデナ工場で共に生産されていた。また、後に登場した4Cも同地で生産された。

最近では、アルファ・ロメオの33ストラダーレのベースにもMC20/MCPuraの骨格が使われており、カーボン製モノコックシャシーとツインターボの3.0L V6を共有している。

「4Cや8Cをモデナで作ったのですから、今回もやらない手はないでしょう」とフィチーリ氏はスーパーカー生産の協業に前向きだ。「33ストラダーレのように、過去を見れば素晴らしいモデルがあり、もう一度そのようなモデルを生み出すことも可能なはずです」

ネットゥーノ搭載は濃厚

彼は新型スーパーカーの具体像については語らなかったが、マセラティのV6エンジン『ネットゥーノ』に言及し、「まさに傑作です」と述べた。このエンジンはグラントゥーリズモ、グレカーレ、MC20/MCPuraに搭載されている。

もしこの限定V6モデルが実現すれば、MCPuraの630psを超える高出力となる可能性が高い。ただし、マセラティとしては電動化によるパワー増強は考えていないようだ。

プレチャンバーを備えるネットゥーノV6エンジン。
プレチャンバーを備えるネットゥーノV6エンジン。    マセラティ

マセラティのエンジニアリング部門を率いるダヴィデ・ダネシン氏は「いまでもまだ、メカニカルで純粋なクルマを求めるお客様がいます」と語り、スーパーカーにバッテリーを搭載することについては、複雑さと重量の増加という観点から「抵抗感」があると付け加えた。

ネットゥーノは先進的なプレチャンバー燃焼技術とツインインジェクションを備え、排出ガスを抑えつつ高性能を実現しているという。

「このエンジンの出力は1.0Lあたり212psに到達しており、非常に効率的な燃焼を実現しています」と彼は言う。これにより、MCPuraのようなピュア内燃車を維持でき、ユーロ7規制施行後も同じ出力でV6を存続できる見込みだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_
  • 編集

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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