名門MGの原点 オールドNo.1とスーパースポーツ・サロネット(1) 軌道修正が導くブランド像

公開 : 2025.08.23 17:45

現存最古の量産MG「スーパースポーツ」 長く尖ったボートテールが特徴のスーパースポーツ・サロネット 名門の方向性を決定付けた、モーリス・ガレージズの2台をUK編集部がご紹介

新モデルで軌道修正が求められたキンバー

1924年の英国ロンドン・モーターショーで、モーリス・モーターズは4シーターの新型車、オケージョナル・フォーを発表。これを受け、後にMGとして統合するモーリス・ガレージズは、対抗策の検討が求められた。

そのモーリス・モーターズは、1919年にウィリアム・モーリス氏が率いたWRMモーターズから自動車の生産を継承。同時にモーリスが経営したモーリス・ガレージズは、グレートブリテン島南部のオックスフォードで、ディーラー業務への特化が強いられる。

手前からMG「オールド・ナンバーワン」と、MG 14/28スーパースポーツ・ブルノーズ・サロネット
手前からMG「オールド・ナンバーワン」と、MG 14/28スーパースポーツ・ブルノーズ・サロネット    マックス・エドレストン(Max Edleston)

しかし、ゼネラルマネージャーを務めていた気鋭のセシル・キンバー氏は、制限の抜け穴へ着目。モーターズ側の量産車、オックスフォードをベースに、独自モデルの開発へ取り組んだ。そこで誕生したのが、2シーターボディを載せた通称「チャミー」だ。

発売は1924年3月で、好調に売れ、広い施設への移転が迫られたほど。ところが新モデルの登場で、軌道修正が必要になったのだった。

ブランドの方向性を決定付けた原点

キンバーは、その時点でチャミーのスポーツ仕様を開発していた。しかし、オケージョナル・フォーへ対抗するには、見た目の訴求力に加えて、有能な走りも不可欠だった。

今回のヴィンテージなMGは、その結果生まれた2台。ブリティッシュ・スポーツを代表するブランドの、方向性を決定付けた原点だといっていい。8角形のMGロゴが誕生するのは、1927年になってからだが。

MG「オールド・ナンバーワン」(1925年式/ワンオフモデル)
MG「オールド・ナンバーワン」(1925年式/ワンオフモデル)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

「オールド・ナンバーワン」と呼ばれるレッドのMGは、1925年3月に完成。同年4月に開かれたレースイベント、ランズエンド・トライアルでクラス優勝を奪った、記念すべきマシンだ。

現存最古の量産MG「スーパースポーツ」

もう一方は、1924年5月に仕上げられた14/28スーパースポーツ・ブルノーズ・サロネット。エンジンはオックスフォード由来の1802cc サイドバルブ直列4気筒で、現存する最古の量産MGだと考えられている。

フレームシャシーは改良を受け、リジッドのリアアクスルは、プロペラシャフトを内蔵するトルクチューブと一体。トランスミッションは、モーリス社製の3速が組まれた。

MG 14/28スーパースポーツ・ブルノーズ・サロネット(1925〜1926年/英国仕様)
MG 14/28スーパースポーツ・ブルノーズ・サロネット(1925〜1926年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ブレーキとスロットル、半楕円リーフスプリングのサスペンションもアップデート。ステアリングラックの位置を変更し、ステアリングコラムの位置が下げられた。ディスク状のホイールも新しく、優れた操縦性と乗り心地を叶えた。

ボディはアルミニウム製で、2シーターのツアラーか、2ドアサルーンのサロネットの2種類から選択できた。価格は350ポンドからと高めではあったが、好みのボディカラーと、クロスまたはレザー内装を指定でき、独自モデルとして充分な内容にあった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

オールドNo.1とスーパースポーツ・サロネットの前後関係

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