お尻より高いつま先 アストン マーティン・ヴァルハラ(1) 1079psの最新HVスーパーカーとは?

公開 : 2025.08.14 19:05

V8ツインターボに3モーターで総合1079psのヴァルハラ ダウンフォース600kg お尻よりつま先が高い運転姿勢 驚くほど親しみやすい挙動 濃厚な運転の魅力度 UK編集部が試作車へ試乗

ツインターボV8にトリプルモーター

アストン マーティンとして、前例ない内容のヴァルハラ。だが視野を広げると、必ずしもそうではない。アルミ製サブフレームが組まれる、カーボン製タブシャシーのミドシップで、ツインターボエンジンにトリプルモーターという構成だからだ。

ランボルギーニレヴエルトフェラーリF80などが、直近では思い当たる。少し前には、ホンダNSXという例も存在した。自然吸気だが、ポルシェ918スパイダーも。もちろん、それらを上回るパフォーマンスが期待される。

アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)
アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)

価格は、英国では85万ポンド(約1億6830万円)から。999台の限定で、納車は2026年の春から始まる。パーソナライゼーション・プログラムを経れば、100万ポンド(約1億9800万円)を超えるのも難しくないはず。

試乗車はプロトタイプで、まだソフトウエアが未完成という状態にあった。恐らく、膨大な行数に及ぶのだろう。

巧妙な設計のモーター内蔵8速AT

エンジンは、メルセデスAMG由来の4.0L V8がベース。アストン マーティンで一般的なクロスプレーンではなく、730psと81.4kg-mがうたわれるAMG GT ブラックシリーズと同様に、フラットプレーンクランクが組まれる。

クランク角は180度で、向かい合うシリンダーが爆発するため、排気ガスの流れがスムーズという特性がある。一方、回転バランスは整えやすいが、振動も伴いやすい。

アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)
アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)

ヴァルハラでは、バンクの内側へ2基のツインスクロールターボを搭載。専用のカムシャフトと排気マニフォールドなどを組み、828psと87.2kg-mを達成した。それぞれ、6700rpmで到達するそうだ。

トランスミッションは、駆動用モーターを内蔵する8速デュアルクラッチ。巧妙な設計で、例えばエンジンが3速と繋がっていても、モーターは2速や4速のギアでアシスト可能だという。その後方へ、電子制御のリミテッドスリップ・デフが続く。

システム総合1079ps 600kgのダウンフォース

フロント側には、左右それぞれに2基のモーターを実装。システム総合での最高出力は1079ps、最大トルクは111.9kg-mが主張され、回生ブレーキ機能も備わる。

前がプッシュロッドで結ばれるダブルウィッシュボーン式で、後ろがマルチリンク式のサスペンションには、ビルシュタイン社製アダプティブダンパーを採用。パワーステアリングは電動で、ブレーキはバイワイヤ式だ。

アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)
アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)

ダイナミックな造形のカーボンファイバー製ボディには、ウイングやディフューザーで構成されるアクティブエアロを導入。最大600kgのダウンフォースを得られるとのこと。マフラーエンドは、カーボン製クラムシェルの高い位置から顔を出す。

タイヤはミシュラン・パイロットスポーツS5で、サイズは前が285/30 R20、後ろが335/30 R21を履いていた。もう1つの選択肢、パイロットスポーツ・カップ2 Rと比べてグリップ力は低く、ブレーキングしやすいコンパウンドだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アストン マーティン・ヴァルハラの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事