一線画す濃厚な魅力 アストン マーティン・ヴァルハラ(2) しなやかなブランドらしさ健在

公開 : 2025.08.14 19:10

V8ツインターボに3モーターで総合1079psのヴァルハラ ダウンフォース600kg お尻よりつま先が高い運転姿勢 驚くほど親しみやすい挙動 濃厚な運転の魅力度 UK編集部が試作車へ試乗

比較的従順 モーター介入がわからない勢い

優れたグランドツアラーを生み出してきたアストン マーティンとして、従来と一線を画すヴァルハラ。雰囲気は近くても、普段は耳栓が不要という点で、サーキット前提のヴァルキリーとも異なる。最もシリアスなモードでも、比較的従順で扱いやすい。

3.9L V8ツインターボエンジンを目覚めさせても、アイドリングは静か。ファンの回転音の方が目立つほど。それでも抜群に迅速。乾燥重量は1655kgがうたわれ、システム総合1079psだから、速いに決まっている。

アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)
アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)

レブリミットは7000rpmで、シフトチェンジは瞬間。ギアを問わず、強烈なトルクとレスポンスで速度が上昇していく。駆動用モーターがいつ介入しているのか、まったくわからない勢いがある。

回生ブレーキと協調する、カーボンセラミックブレーキのフィーリングはお見事。エンジンサウンドは、フラットプレーンクランク・ユニットらしく、情感豊かではないかもしれない。間違いなく、アグレッシブな響きではあるが。

ベースは「運転が楽しい個性を与えること」

今回の試乗は、シルバーストン・サーキットの内側にある、ストウ・サーキットに限られた。車両はプロトタイプで、助手席にはアストン マーティンの技術者、サイモン・ニュートン氏が座っていたが、かなり自由に走ることが許された。

ニュートンは、「運転が楽しい個性を与えることがベースにありました」。と説明する。同ブランドの伝統通り、印象的な乗り心地と、限界領域でも穏やかな挙動を与えることを目指したという。超高速域での走行時にも。

アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)
アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)

スタビリティ・コントロールは完全なオフを含む3段階、トラクション・コントロールは8段階から選べ、完全にドライバーの技術だけで操ることも可能。サスペンションも変化するドライブモードには、EVモードが含まれる。

驚くほど親しみやすい すこぶる面白い

ストウには2本のストレートを挟んで、多様な速度域のコーナが連続している。通常は2速で抜けるヘアピンでも、トルクが太く、ヴァルハラは3速で問題なし。サスを引き締めても、ボディはある程度前後左右へ傾く。縁石へ乗り越えても、跳ねることはない。

ステアリングホイールは重すぎず、クイックすぎない。正確にラインを選べ、滑らかに操れる。ダウンフォースを実感できるほど広いコースではないが、すこぶる面白い。プロトタイプ・レーシングカーのような見た目でも、驚くほど親しみやすい。

アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)
アストン マーティン・ヴァルハラ(プロトタイプ)

ブレーキング時には、僅かにボディが沈む。ブレーキやアクセルのペダル加減で、意図的にバランスを崩し、積極的にフロントノーズの向きを変えることも難しくない。

コーナー出口でパワーを放出すると、リアタイヤがスリップし白煙が湧く。テールスライドは、予想通り穏やかに発生する。電子制御デフの設定も含めて、シャシーのソフトウエアはこれから仕上げの段階に入る。このシームレスな特性が、有効に働くはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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