【こだわったのはデリカらしさ】キープコンセプトの理由はデリ丸?新型三菱デリカミニで、開発担当者がやりたかったこと

公開 : 2025.08.26 11:45

三菱自動車は『デリカミニ』をフルチェンすると発表。初代はeKクロススペースのマイチェン版ということで様々な制約があったものの、新型ではかなりやりたいことができたようです。内田俊一が開発責任者に詳しく聞きました。

三菱日産、ふたつの説得

三菱自動車工業(以下三菱)は『デリカミニ』をフルモデルチェンジすると発表。初代は2022年にeKクロススペースのマイナーチェンジとして登場したため、開発においては様々な制約があったが、新型ではかなりやりたいことができたという。開発責任者に詳しく聞いた。

初代から継続して開発を担当する三菱の藤井康輔さんは、新型でこだわりたいことがふたつあった。

フルモデルチェンジを果たした2代目となった、三菱デリカミニ。
フルモデルチェンジを果たした2代目となった、三菱デリカミニ。    三菱自動車工業

「内装をデリカミニ専用にしたかったんです。先代の外観はデリカミニでしたが、内装はシート生地などは変えたものの、それ以外は兄弟車と変わりませんでした。それから、『三菱』、『四駆』、『デリカ』となると、やはり走行モードをダイヤルで触りたいでしょう」

しかしその一方で、日産と三菱の合弁会社である『NMKV』のマネージメントにより日産ルークスなどと共同開発されることから、各部の共用化が求められる。そこで藤井さんは思いを遂げるために、『ふたつの説得』を行った。ひとつは社内に対して投資を求めること。もうひとつは日産に理解を求めることだ。

「三菱らしいクルマをちゃんと作ろう、これぞ三菱という商品じゃないとダメだというマインドが経営トップから降りてきていました。そこで、三菱の味を出すために多少お金はかかっても、こだわるところはこだわろうと話しました」

日産には、実際に三菱のテストコースを走ってもらったという。

「こういうところで我々は評価をしていることなどを体験してもらい、コミュニケーションをとっていきました」。その結果、インストのグリップ形状やダイヤル形状のドライブモードセレクターといった独自のインパネまわりや、悪路を含めた走行性能を実現したのだ。

足まわりに関しては、カヤバのショックアブソーバー『KYBプロスムース』を採用した。

「軽スーパーハイトワゴンですから、そのままだとふらつくんです。そこでサスペンションだけでなく他のところの剛性を上げ、ブッシュ位置変更などによりうまく力を逃がしています。また、ベアリングの材質変更などでうまくコーディネートしました」

その結果として、デリカミニらしい走行性能を実現したそうだ。

キープコンセプトのデザイン

藤井さんは先代デリカミニの強みをこう分析している。

「クルマとしてのキャラクターの強さ。それとお客様の情緒的な価値観、自分は人とは違いオフロードにも行けるクルマに乗っているという満足感の高さです」

開発責任者である三菱商品戦略本部チーフ・プロダクト・スペシャリストの藤井康輔さん。
開発責任者である三菱商品戦略本部チーフ・プロダクト・スペシャリストの藤井康輔さん。    内田俊一

新型ではそれを生かすべく、ウイークポイントとして声があがっていた、内装がきょうだい車と同じで残念、シートがフラットにならない、USBケーブルを追加して欲しい、ひとつしかないシートバックテーブルを左右に追加して欲しいという部分に対応。しかし要望にあった、先代で27Lだった燃料タンクの拡大はできなかったという。

軽自動車は通常この程度の容量だが、デリカミニユーザーは、「結構アクティブに使われる方が多く、遠出もするんです。しかし今回は拡大分のスペースをつくることができず断念しました」と悔しそうに語った。

そして新型で藤井さんが強調したいのは、デザイン性だという。「これぞデリカミニという外装と、こだわった内装を一番お客様にアピールしたいんです」。

「今のとにかくカッコ可愛くて愛くるしい表情。それと一番のシンボルになっている半円形のシグネチャーランプは踏襲しないといけません。三菱らしいクルマとして、特にデリカのネーミングを冠していますから、デリカらしさをお客様に感じていただけるクルマにしたい。基本的にはそのふたつを守ってほしい、キープコンセプトだとデザイン部に伝えました」

また大きく変えると、「『デリ丸。』も変えなくちゃいけなくなります(笑)」。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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