米国で最も革新的だった自動車メーカー パッカードの興亡(前編) 各国の指導者に愛された先進性
公開 : 2025.10.04 12:05
パッカードの4気筒車
1903年(ウォーレンからデトロイトへ本社を移転した年)から1912年にかけて、すべてのモデルにフロントマウントの4気筒エンジンが搭載された。その排気量は年を追うごとに4.0Lから7.1Lへと徐々に大排気量化した。
高級路線を追求し、かなりのコストをかけて開発されていたが、この時期のパッカードは高性能車にも手を伸ばしていた。1904年の年初、モデルKをベースとする軽量かつ驚くほど空力性能に優れた『グレイウルフ』と呼ばれる派生モデルが、デイトナビーチにおいて1km走行で76.04mph(約122.3km/h)、1マイル走行で77.58mph(約124.8km/h)という速度記録を残した。

パッカードは広告資料でこれらを世界記録だと豪語したが、当時の公式陸上速度記録は83.46mph(約134.3km/h)であり、数週間後には91.37mph(約147.0km/h)に更新されることになる。
パッカードの6気筒車
パッカードが10年近く4気筒エンジンに固執している間、フォードやオールズモビル、ロールス・ロイスといった他社は次々と6気筒エンジンを導入していった。パッカードが追従したのは1912年。その後3世代にわたり『シックス』の通称で知られる多数のモデルを生産した。最初の6気筒エンジンは8.6Lで、後に6.8Lとなり、Tヘッド(シリンダーの両側に吸気・排気バルブを配置)を採用。ブロックは3つの鋳造部品で構成され、2気筒ずつ配置された。
当時としては十分優れた設計だったが、パッカードは1914年にまったく異なる設計へ変更した。新型エンジンでは3気筒ブロックを2基組み合わせ、Lヘッド(吸気・排気バルブを同じ側に配置)を採用。これにより前モデルより軽量化、効率化、低コスト化を実現した。

パッカード・ツインシックス
パッカードはV12エンジンを発明したわけではない(1904年に英国のパトニー・モーター・ワークスが発明した)が、量産車に搭載したのは同社が最初だった。6.9Lの『ツインシックス』は1915年に登場し、一時的に他の米国メーカーの注目を集めた。その後しばらくV12は影をひそめ、再び日の目を見るのは1930年代に入ってからとなる。
ツインシックス発表から2年後、ニューヨーク自動車ショーでは16台ものV12エンジン搭載車が展示された。しかし、1923年の同イベントではパッカードが1台展示しただけで、それもすぐに姿を消してしまった。
















